03
どうやら明日には島に着くみたいだが、無人島らしい。
そこで降りる訳にも行かないからもう暫くこの船にお世話になる。
タクトは寝不足のようで、気が付くと欠伸をしていた。
「いつになったら人がいる島につくんですか…」
『まぁ、精々2週間後ぐらいじゃない?』
タクトはガックリと肩を落とし、そしてまた欠伸をした。元奴隷だった名残なのか人が沢山いる場所では満足に寝れないのだ。
『私が傍にいるから、少し寝なよ』
「お言葉に甘えて…少し寝させていただきます」
『ん、おやすみ』
規則正しい呼吸が耳をかすめた。自分には心を許してくれているみたいで安心していた。鬱陶しいタクトの前髪を掻き上げた。目は閉じているが、それでも美少年と言えるほどの美貌にハナブサは驚いた。
『滅茶苦茶好みなんだけどぉぉぉお!』
「…んっ」
その叫び声で目が覚めたタクトは目をこすりながらハナブサを見上げた。所謂、上目遣いだ。
「敵襲ですか?」
『い、いや!全然違うぞ!!お前は寝てろ』
そう言って、タクトの顔に枕を押し付け高鳴る鼓動を抑えた。
暫くして、目を覚ましたタクトを部屋に置いて甲板へと来た。夜の帳が下り欠けている月が顔を出していた。
あと、数日で満月の夜が来る。自分の小さな体をキツく抱きしめた。
満ちた月が真の姿誰にも知られたくない秘密がある。