02
何だかんだで、白ひげの船でお世話になっている2人。
この船の人たちはいい人ばかりだ。だが、タクトは気に食わないらしい。元海賊の奴隷だったタクトはやはり海賊は好きにはなれないみたいだ。ハナブサはタクトを抱きしめた。
「ハナブサ……。無い胸に挟まれても嬉しくないです」
その言葉にイラっとしたハナブサはタクトを蹴り飛ばした。
「グッ!」
『お前は一言多いんだよ!』
「事実を言ったまでです。怒らないでください」
『事実でも言うな!』
全く。と言ってハナブサが部屋を後にしようとした時だ。
「敵襲だぁ!!!!」
誰かが甲板で叫んだ。
ハナブサはニヤリと妖しい笑みを浮かべ、甲板に足を運んだ。タクトも蹴られた頬を摩りながら続いた。
まだ、攻撃は開始されておらずマルコは腕を組んで敵を睨む。
『おい、マルコ。ここは私たちがやるから引っ込んでろ』
「は?お前ら2人でかよい?」
『あぁ、余裕だ。なぁタクト?』
「はい。あの人数でしたらハナブサだけでも充分ですが俺も行きます」
タクトは顔を歪めながらマルコの肩に触れた。するとタクトから青い光が漏れ不死鳥の姿に変わった。
「!?どうなってんだい?」
『タクトはコピコピの実の能力者。能力をコピーする超人系だよ』
「ほう、おもしれぇ。ハナブサは何の能力者なんだい?」
『私は能力者じゃない。ま、見てな』
ハナブサは、手を敵船のほうに突き出した。すると海は荒れ狂い船に襲いかかる。
『海の藻屑になりやがれ』
そう呟くと船は海にのまれ跡形もなくなった。タクトは直ぐに船に戻り姿を戻した。
「お前すげぇな!おっと名乗り遅れたぜ。俺は2番隊隊長のエースだ!よろしくな」
「タクトです」
『私はハナブサだ』
「エース、お前いつ帰って来たんだよい」
エースはテンガロンハットを被り直し今帰って来たと告げた。
彼はある用事で船を離れていたらしい。
「それにしても、お前らは一体何もんだい?」
『普通の旅人だが?』
「言うと思ったよい。ちゃんとお前達の事を話してくれよい」
『悪いがまだ話せない。いつか、ちゃんと話す。それまで待ってくれ』
「…っ」
マルコはエメラルドグリーンの瞳に射られ、喉まででかかっていた言葉をのんだ。
そして瞳を逸らし甲板を後にした。
エメラルドグリーンの瞳は海を写す私は、神に選ばれた人間。