プロローグ
私には不思議な力がある。
その力は生まれつきで、民は私を"海神"として崇め幽閉した。
幽閉され、15年が経ち私の心や体は大人になった。

『もう、子供じゃない。さようなら。私の故郷』

夜に来た見張りの男を倒し、私は自分の故郷を去った。




*****





『ふわぁ〜。今日で半月か…次の島はどんな所かな』

小さい小舟で旅をしている彼女の名前はハナブサ。
とある島で"海神"として崇められていた女だ。
彼女は賞金稼ぎをしながら世界を回る旅人。つい先日、新聞に名が乗り海軍や名を馳せる海賊に目を付けられている。
本人は全く興味はなく、のんびりと航海をしていた。
近くに海賊船が来ているのもお構いなし。悠々と昼寝を楽しんでいた。

「おい!人の航路にいんじゃねぇよ!!どけっ」
『んぁ?なんだお前…私は絶賛昼寝を楽しんでんだけど。邪魔しないでくれる?』

海賊は顔を猿のように真っ赤にし、彼女目掛け銃を撃った。
彼女はダルそうに腰を上げ、白狐を鞘から抜き構え向かってくる弾を一つ残らず切り捨てた。無傷で立つ彼女に驚きを隠せない男たち。

『あんたら、私の睡眠を邪魔したんだからそれなりの覚悟はあるんでしょうね?』
「「「「ひぃ!」」」」

周りには気絶した男たちが山になっていた。その男たちを踏みながら船内へと足を踏み入れた。

『お宝はどこかなぁ』

どっかーんと音を立てながらドアを破壊していく。5つ目のドアを壊した時だった。枷に繋がれボロボロの服の下には痣やミミズ腫れが目立つ顔の見えない少年がいた。
近づくと辛うじて息をしていることに気付き、繋がれている枷を破壊した。

「アンタ、誰?」
『私はハナブサ、旅人だ。お前、名前は?』

少年は俯き、言葉を発しなくなった。彼女は何かを察し、少年に手を差し伸べながら言った。

『今日からお前の名前はタクトだ。私と来い』
「!…あ、りが…とう」

タクトは心に決めた。どんな事があろうと彼女を一生守りぬくと。





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