04


食事中、1人で部屋に来るようにと父さんに言われた。私、何かしたのだろうかと考えるだけで食が進まない。
ちらりと兄さんを盗み見ると目が合い優しく微笑んでくれた。
口の中に無理矢理ご飯を流し込み、後片付けをしてから、父さんの部屋に行った。

『失礼致します』
「あぁ、こちらへ座りなさい」

父さんは、目の前に座る様にと指した。隣には母さんも座っており何やら深刻そうな表情だった。

『話、と言うのは…?』

母さんは、自分の足元にあった布に包まれているものを差し出した。
私はそれを受け取り中の物を確認した。鍵、にしては大きいそれを見ながら父さんと母さんの顔を見た。

「お前にずっと渡そうと思っていた。もし、何かあった時、木ノ葉の里の西の森にそれをもって行くんだ。話はそれだけだ。もう戻っていい」
『…はい』

私は貰った鍵を握り締めながらこの部屋を後にした。年代物のようで少し錆び付いているが真ん中にはめ込まれている真っ黒な石は輝きを失っておらず今も尚、陽に当たればキラリと輝いている。不思議とそれを持っていると安心するのは何故だろうか。

「父さんと母さん何だって?」

サスケはひょこっと廊下から姿を現し私の瞳を見つめている。

『鍵を渡されたの』

ほらっと言って、渡された鍵を見せるとサスケは頬を膨らませた。

「いいな。俺も何か貰いたかった」
「こら、サスケ。あまりイヅキを困らせちゃダメだぞ。ほら、3人でお風呂に入ろう」

兄さんが私の手に触れた時だった。ゾクリと背筋が凍るような感覚に陥った。兄さんの心は闇に支配されつつある事にこの時はまだ気がつかなかった。




 

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