03
今はお昼休み。
確か、次の授業は男女混合で体術だった気がする。動きやすい格好で良かったと心の中で呟いた。
その前に、少し身体を慣らしておこうと思い、外へ移動しようと重い腰を上げた。
「あんた、最近調子に乗り過ぎなのよ!デコリンのクセに」
何か聞いたことのあるセリフに顔を顰めながら、声のした方向に向かって再度歩き始めた。案の定そこには、サクラといじめっ子3人がいた。サクラはびくりと肩を揺らして瞳を潤ませていた。
『何してんの?』
「!?」
「うちは…イヅキ」
3人は私の登場に酷く驚いているようで、顔を青くしていた。私、何かしたのだろうか。
『よってたかっていじめて楽しい?』
「そう言う訳じゃ!」
『じゃあ、どう言う意味よ?1人の子に数人でいじめるなんて卑怯だし、醜いよ。それにあんた達よりサクラの方が百倍可愛いし』
「っ!煩いわよ!!サスケ君の妹だからって先生たちにちやほやされてさ。あんた成績下から数えたほうが早いじゃない!!!」
『(なんでその話になったの…)』
私は呆れつつ、睨んだ。3人は怖じ気付き覚えてなさいとお馴染みのセリフを言ってこの場を去っていった。
サクラはもじもじしながらありがとうと小さく呟く。
あれ、なんかすっごく天使に見えたのは私だけだろうか?
『どういたしまして!何もされなかった?』
「うん!イヅキちゃんが助けてくれたから!」
あ、やっぱり気のせいじゃなかったみたいだ。すると教室の方からいのが走ってきた。
何か、ものすごい形相だけど気にしないでおこう。
「サクラ!あんたまたあいつらに絡まれてたんでしょ!?」
「う、うん…けどイヅキちゃんが助けてくれたから!」
「そうなのね…イヅキ、ありがとう!」
『いや、当然の事しただけだから』
それでも、といのは笑った。うん。いのも可愛い。それから3人で世間話やら恋話(殆ど、サスケの話)をしていたら休み時間はあっという間に終わってしまった。
「次の授業は体術よね?サスケ君の勇姿を見れる!」
こういう話になると乙女だなと感じる。いやー若いっていいね。私も今は若いが。とか考えているうちに中庭に移動していた。
もう既にイルカ先生は組手を行う順番の書いた紙を手渡しており私の手にもその紙が回ってきた。何て、運の良さだ。さっきサクラをいじめていた首謀者と組手をする事になってしまった。はぁと小さく溜息を吐いて順番を待った。
時間と言うのは早いものであっという間に自分の番になった。
ルールは簡単だ。先に膝を着いた方が負け。
サクラやいのの声援を受けつつ中央に向かった。サスケはと言うと照れながらも口パクで「"頑張れ"」と言ったのが分かった。
「イヅキと当たるなんてラッキーね!私が勝つから」
『奇遇だね。私も負けられないの』
そして、イルカの合図で組手が開始した。
最初は相手の動きを観察でもしようかなと攻撃をかわしていたが、痺れをきらしたナルトが私に大声で言った。
「イヅキ!何やってんだってばよ!!」
チラリとナルトの方を見ると周りの男子も早くやれよ。みたいな眼差しで見ていた。私の華麗なるかわしを褒めて欲しいものだ。サスケに至ってもどうやら本気でやっていない私に少々呆れているご様子。それにしてもこの子(名前なんて覚えてない)足元がガラ空きだ。避けた反動でその子に足を引っ掛けると見事にすっ転んだ。おー愉快愉快。サクラをいじめた仕返しだ。
「イヅキ、本気でやりなさい」
イルカから注意を受けた私は『はーい』と軽い挨拶をして。構えそして一瞬で間合いを詰め蹴り倒した。
周りの外野も静まり返り、すげぇとかやるじゃんと言った声がチラホラと聞こえた。
これで当分サクラにいじめたりしないだろう。私はサクラにニッコリと微笑んだ。
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