08


うちは一族虐殺から、もう5年と言う月日がながれた。
明日は、アカデミーの卒業試験がある。ふと、部屋の掃除をしようと立ち上がり押し入れの中の整理を始めた時だった。
あの時、父さんと母さんから渡された鍵がコトリと音を立て床に落ちた。
それを手に取り、石を見るとあの時と変わらず輝いている。何となく私はそれを持ち木ノ葉の西の森に移動した。
見渡す限り、木、木、木。一体ここに何があるのだろうか。そう、戸惑っていると後ろから声が掛かった。

「君、ここで何してるんだい?」

振り向くと、長身の顔の見えない青年が木に寄り掛かりこちらを見ていた。
胸がざわつく。私はこの人を…知っている?

「あぁ!俺、怪しい奴じゃないよ!木ノ葉の特別上忍」

そう言って、腕に縫い付けてある額当てを見せる。青年は考える仕草をした後、また口を開いた。

「えっとね、この森は関係者以外近寄っちゃいけないんだ。危ないからね。俺が家まで送るからここから出よう」
『えっと…。私、母さんと父さんから鍵を渡されて。西の森に行けって言われたから来たんですけど…』
「ごめんね。それでもここへ立ち入ってはダメなんだ」

その時見た顔はどこか寂しそうだった。
私は仕方なく、その青年と家へ帰ることにした。

「あっ!そうだ。君、名前なんて言うんだい?ちなみに俺はタクト。」
『うちはイヅキです。あの、タクトさん。何処かでお会いした事ありますか?』

タクトの表情を伺いつつ、さっき思ったことを口にしたが、タクトからの返事はNOだった。モヤモヤが消えず納得がいかないが、仕方ない。この事は胸の奥底に封印しよう。
家の近くまでタクトは送ってくれた。別れ際にまた、口を開く。

「君とは近々再会すると思う。その時まで…。じゃあ、またね」
『あっ!』

タクトは意味深な言葉だけを残し、姿を消したのだった。




 

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