恋愛相談T(前田慶次)





今日も今日とて図書当番
図書室の貸出返却は
大体図書室が閉まる時間と
図書室が開いて少ししてからが
多くて、中間の今の時間は
本を読んでおける

次のページを見ようとした瞬間
遠くから走ってくる足音が
聞えて来て図書室の扉が開いた

「羅奈先輩!!孫市先生って
良く図書館来るんだよな?」

いきなりカウンターに詰め寄って
来たのは慶次君

「慶次君、図書室だよ
静かにね^^」

やんわりそう言うと
慶次君ははっとなって
周りを見渡してから

小さな声で
「ごめん」って言いながら
手を合わせた

「うん、分かってくれればいいの
あれ?慶次君ってねねちゃんが
好きじゃなかったっけ?」

「いや…まぁそうだったんだけどさ
孫市先生を見てびびっと
来ちゃったんだよね、俺
ねねは秀吉のだし…
失恋には新しい恋って事さ!!」

なるほど…

ねねちゃんは他校に通っている
秀吉君の彼女で、慶次君が
一目惚れしちゃってどうしても
今まで忘れられなかったけど

やっと次に進めたんだんだね…

慶次君は、顔もいいし性格も明るいし
良く恋愛相談とかを受けていて
色々な人のキューピットになっているのに
自分の恋愛にはめっぽう弱い

「さっきの孫市先生が
…来るって話だけど」

「うんうん!!」

「孫市先生良く来るよ
たまにお菓子くれるし」

「お菓子ぃ?!」

もう慶次君の目を見るだけで
うらやましそうな顔をしていた

「えっどんなお菓子もらったの
羅奈先輩!!」

「う-んとねぇ」

通学鞄の中に入っている
小さなトランクを机の下から取り出した

「えっと孫市先生っと…」

度々色々な人から
お菓子をもらうから
誰から貰ったか忘れて
ありがたみが薄れちゃうから
ちゃんと人ごとにお菓子を
分類している。

「あっあったこれだ」

ちょうど今日の朝貰ったお菓子
【エリーゼ】をカウンターの上に取り出した

「へぇ〜孫市先生って
エリーゼ食べるんだ〜」

カウンターに張り付いて
エリーゼを見る慶次君は
夢見る乙女みたいで
何だか可愛い

「うん、これでよかったあげる
でも孫市先生には内緒ね?」

本当は貰った物を
もう一回あげるのは
あんまり好きじゃないんだけどね-

「羅奈先輩本当に?!」

その瞬間やんわりエリーゼを掴んで
慶次君が天にかざした

最早慶次君の周りには
花が漂ってるのが見える

「フフッ孫市先生、
手ごわそうだけど頑張ってね
私は可愛い後輩を応援してるから」

そう言うと
慶次君はニカッって笑って
「ホントありがと!
次は羅奈先輩の恋
絶対応援するから!」
って元気な言葉を残して
去って行った。


恋愛相談T

(まだ私は誰が好きなのか
良く分からないなぁ)


2010.12.21



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