図書室の華(石田三成)





羅奈は可憐だ
何時でも絵になる
流石秀吉様と半兵衛様が
認めた御方…

「羅奈、
これを借りたいのだが…」

「うん、ちょっと待ってね
三成君、カード出すから」

羅奈がカードを探す間
借りる予定の本の表紙を撫でた

「はいカード見つかったよー
本貸して?」

「あぁ」

羅奈の白くて細い手の
上に本を軽く置くと
羅奈はしっかり受け取った

「あっこの本三成君が
借りてくれるんだ」

羅奈がテキパキと貸出の
手続きをしながらそう呟いた

「この本がどうかしたのか?」

「私ね、この本好きなの」

“好き”と言う言葉が頭の中に
反響する…あぁそんな
つもりではありません秀吉様!!

私は秀吉様のご友人に
なんて事を…っ

「っ…どこが好きなんだ?」

図書館の中の本はほとんど
読んでる羅奈が
態々言う位の本だ
どこが好きなのか
気にならない事はない

「中身もそうなんだけどね
この表紙のね花のモチーフ好きなんだー
はいこれで貸出受付ok」

渡された本の表紙をじっくり
みると小さいが細かく綺麗な
花が書かれていた

「花が好きなのか?」

「うん、好きだよ」

よくよく考えると羅奈の
私物には花が入っている物が多い

「そうか…また来る」

「うん、ちゃんと食べて
寝なきゃ駄目だよー」

「フン…言われなくても
分かっている」

軽く手を降る羅奈に
少し恥ずかしくなり
顔も見ず歩きながら
少し手を降り返した

…全く私らしくないものだ…

「おぉどうした光成よ」

「刑部か」

図書館を出ると
何とも似合わぬ
花束を抱えた刑部
に出会った

「その花は何だ?」

「おぉこれか我が
“宵闇の羽の方”とやらを
存じておると申したら
『是非あの方に渡して
ください』と言われたのだが
まことに面倒くさい」

刑部曰く、少し意地の悪い
事を言ってみたら
こんな事になってしまった
との事だった

「警部、3本程花をくれないか」

「おぉ3本位なら構わぬわ
持て参れ」

そう言った刑部の手の中の
花束から3本抜きとって
私は図書館に踵を返した

図書館に入りカウンターを見ると
毎度変わらず本を読んでいた


「羅奈」

名前を呼びながらカウンターに
近付くと羅奈は驚いた顔で
こちらを見た

「どうしたの三成君?」

「これをやる」

手に持った花を差し出すと
羅奈が眩しくて
見えなくなりそうな程の
笑顔を間近で見た…
…くっ美し過ぎる

「ありがと三成君!!
凄い嬉しいありがとう
図書館に飾ってもいいかな?」

「…あぁ好きにしろ」

…笑顔を見れた
だけで私は満足。
図書室から出る間際
振り返ると

羅奈はどこに飾ろう!!
とか言いながら
花瓶を取りに司書室に
入って行くのが見えた

図書室の華

−−−−−−−数日後

「…何故こんなに花が…」

「三成君がねくれた日から
皆毎日花持ってきて
花瓶が足りなくて大変なの」

「…。」

私に便乗して花を贈った
奴らを呪ってやりたくなった


2010.12.20



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