鈍感少女(風魔小太郎)





羅奈は鈍感だ
図書館に通いに来る
ほとんどの男子は
羅奈目当てなのに
全く気付かない

この間凶王と呼ばれる
石田光成から貰った花を

家に持ち帰らず
図書室に飾った上
他の奴に花の事を聞かれて
図書館が一時花に溢れた

まぁそれと共に
羅奈の笑顔が増えて
男たちも鼻を伸ばした訳だが

凶王は少なからず
神経にダメージを受けていた

俺とすれば好ましい事だが
俺の好意さえも
気付かない所は困る

この間新書整理の時
手伝った後抱きついても
羅奈は「可愛いね小太郎」
とか言って俺の頭を撫でた

俺は犬じゃない

それでも俺だけだ
羅奈に抱きつけるのは

真田幸村も可愛いと
羅奈に言われているが
虎の若子は頭を撫でられるだけでも
破廉恥、破廉恥と五月蠅く言うばかりだ

勿論その他の奴らなど
抱きつくような勇気もない

「今日も小太郎
来てくれたんだね」

図書室に入って少し歩いた
カウンターに本を読みながら
座る羅奈の隣の席に座った

俺は図書委員ではないけれど

「毎日来てくれるし
私の仕事立ったまま
見てたら大変でしょ?」

って羅奈が言ってくれて
椅子を態々用意してくれた

立ってるのは苦じゃないけど
羅奈に近付けるし
俺としては願ったり叶ったり

羅奈の仕事を
たまに手伝ったり
羅奈をじっと見てると
頭を撫でてくれるから
幸せな気分になる

しかも抱きしめても
怒らないし

でも仕事の邪魔をすると
怒られるから絶対
仕事の邪魔だけはしない

駄目。絶対。

今日も羅奈目当てで
カウンターに来る奴を
殺気で散らす

(あの人本借りてかないのか…)

(…。(殺気))

俺の殺気で逃げてったのに
気付かない羅奈は
やっぱり鈍感だ




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