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この国はとても閉鎖的だ。
閉鎖的であるが故に、新しい物にも拒絶的である。
50年前であれば準日本人の移民である
私のような存在はとっととコミュニティから
追い出されていたのだろう

しかし幸か不幸かシビュラシステムに依存している
繊細な日本人にとって私の存在と言えば異物で
あるには違いないが態々詮索して自分の色相を濁らす
ようなおせっかいな人物などおらずプライベート
については一度も詮索を受けたことがない

名前は帰化した時点から日本人名を使っており
この名前も徐々に馴染みはじめていた

私が移民として日本にきたのはつい5年程前
のことだ今の日本に対する最初の感想と言えば
唯々つまらない国だなということだけだった

この作られた安全という檻の中でのうのうと
生きて生けれるだけの生活は外で自由に生きてきた
私にとって唯々つまらないものでしかなかったのだ

失ってから気付くものもある

“運や選択ミスに左右されない最適で
幸福な人生を送ることのできる社会”
それは私が通っていた職業訓練校で
何度も繰り返し聞いた言葉である

色相はオールグリーン準日本人であるにもかかわらず
メンタル美人としてほぼ全ての適正に合格していた
私が選んだ仕事は図書館司書、能力以下の職につく
なんてもったいないと何度も説得を受けたが
私の意志は変わらなかった

ホログラム技術などの電子媒体が発達した日本では
もう本という媒体は過去の遺産であり態々それを
管理するような職につきたがる人も居ないらしいそれ
にもかかわらず色相が最良の者しか図書館司書に就く
ことが許されておらず無人図書館が増えてきている

私が配属されたのは 「国立シヴィラ図書館」

シヴィラが認めた本のみを収集し所蔵する閉架施設
であり一般人は閲覧の際色相検査が義務付けられて
いる本は思想の違いにより破損される可能性が非常に
高い媒体だ全ての本はもう既にアーカイブ化されて
いるがオリジナルとしての価値はまだある

シヴィラ図書館の周りは常にドローンが巡回しており
監視官や執行官の巡回ルートにもなっていた
エリアストレスはとても低く過ごしやすいという
理由で足蹴なく通う常連もいる・・・と言えど
来館者は少なく私は唯々カウンターで
本を読みふける毎日を送っていた

そんなある日閉架式の書庫から復元不可になるまで
燃やされた本が見つかった事が事の始まりである。




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