truth 2/5



閉架式の書庫から燃やされた本が見つかった
それは私以外の図書館員にとってとても衝撃的な事実
だったらしいあれだけ厳重な色相チェックをし
入館者の管理をしているのにも関わらずその
包囲網が突破されたという事実・・・

元は極限に少なかったエリアストレスが徐々に
上がっていきついには殺人事件もおこってしまった

あれだけ静かで綺麗な図書館が一瞬にして
エリアストレス最高レベルの檻となったのだ
私としても死体を見たのは初めてだったが色相は
全く持って良好であり同僚が死んでいるのに
実は冷たい人間なのだなと漠然と思った

ちょうど巡回に来ていた公安局、警備課の
佐藤さんにより刑事が到着するまで
皆その場を動かないようにという指示が出された

待つこと20分公安局の刑事が現場に到着した

「公安局刑事課一係所属、監視官の宜野座です
お話しを聞かせて頂きます」

ふと周りを見回すと誰もが皆げっそりした顔をして
おり状況を話せるような人はいないようで私が
状況を説明することになりそうである
可愛そうに・・・皆まとめてケア施設送りだろう

「私がお話ししましょう」

苦笑いをしながら
宜野座と名乗った人物と目を合わせる

「こりゃあ面倒な事件に
巻き込まれたな嬢ちゃん」

「征陸さん、お久しぶりです」

征陸さんは執行官でありながらも紙の書籍をご覧に
なるということで監視官を連れ立って来館することも
あり会えば話す程度には仲を深めていた

「えーとっつぁん知り合いなんっすか?」

大柄の征陸さんの後ろから若い男が顔を覗かせた

「初めましてこの国会シヴィラ図書館の
司書を務めています苗字 名前と申します」

「へー俺は縢、縢 秀星。よろしく苗字ちゃん」

「はい宜しくお願いします」

彼の顔を見てよろしくする気もないくせに
と思ったが黙っておいた

「勝無駄話するんじゃないここは事件現場だ」

すんませーんというなんとも抜けた声に
苦笑いしつつ宜野座さんに向き直る

「死体はそのままです発見後から私以外皆動いて
いません実際監視カメラをご覧頂ければ分かると
思います本日まだ開館していないので
一般来館者は居ません」

「昨日の来館者数は分かるのか?」

「えぇ職員全員に配布されている
電子管理媒体がありますから」

ポケットの中から手のひらサイズの
デジタル画面が付いた携帯媒体を取り出す

「昨日の来館者は・・・68名が来館しました」

「68名・・・前よりも来館者が少ないな?」

通常の図書館を知っている征陸さんが
不思議そうに声を挙げた

「本が燃やされた事件は既にご存知でしょうか?
それを期にどんどんエリアストレスが上がってきた
ものですからよほど用事がある方かあまり
気になさらない方しか来られなくなりまして」

そして現在エリアストレスは最高潮だろう
もう何がおきてもおかしくない状態だ

「司書はこれで全員なのか?」

床に座り込んでいる3人の司書を目にする
私はまた管理媒体を操作し職員の人数を確認した。

「いえ、この場に居ない人物も含め今日は
25人が働いていいますここは広いですから」

「おい伸元そろそろここに居る奴は限界だろう」

私以外の3人は色相がかなり濁っているようだ
うつろな目をしてついには床に伏してしまった

「とりあえず施設に連れて行くのが先か
苗字さんは大丈夫ですか」

「えぇ私は大丈夫ですよ」

そう言った瞬間3人からドミネーターを
つきつけられたとりあえず流れで手をあげる

「ははは、犯罪係数アンダー20、
執行対象ではありませんトリガーをロックします
だとよとんでもねぇメンタルの化け物だ」

「うわぁ・・・絶対黒だと思ってたんっすけど」

3人は当てが外れたように
ドミネーターを私から下した

「全く普通の市民に失礼ですね」

「殺人現場でアンダー20の
普通の市民なんて居てたまるか」

宜野座さんはそう言いながらメガネをかけ直した

「とりあえずそこの3人を避難させる苗字さん、
あなたは公安局で検査を受けてもらう」

まるで犯人のような扱いに苦笑いしつつも
公安局には逆らえないから肯定の意を示す

「お気に召すまでどうぞ」

結局何をやったって何もでてこないのだ公安局に
連れていかれ検査を受けたがその時の犯罪係数は0
検査の末装置もなし安定剤もなしで
謝罪とともにすぐ解放された




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