少女時代 1/14





小さい頃から私は体が弱かった
それでももし昔の…
そう、まだ21世紀頃の
空気であれば
私は人生を全う出来たと
お医者さんに聞いた事があった

でも結局今の××世紀では
18歳という余命が
生まれた時から付けられていた

周りにもそういう人は沢山居て
私たちは体の強い人達とは違って
小さい頃から違う場所で18年間
それぞれ好きな分野を
好きなだけ学んだ

私が学んだというよりも
読み続けたのは小説
難しい文学書は嫌いだけど
何よりも私はファンタジー小説が
大好きだった

何よりも強い主人公が大好きで
困難にも打ち勝つ力が好きだった

特に大好きだったのが
この広い図書館の21世紀の
古書中の古書にあたるこの本
“ダレン・シャン

私は取りつかれていたのだろうか
この本の魅力に…

読んではまた読み返し
漫画版も、スピンオフも
最初は英語なんて読めなかった
原作本も、
他の国で発売された物も
私は沢山読んだ

――――そして月日は流れ
私は予定通り18歳で短い命を終えた

…私は魂はこう抜ける物なのだと
初めて理解した
私の体の周りには看取ってくれた
両親と友達

それを傍観的に見ながら
私はどんどん昇っていった
体がどんどん遠くなっていく
屋根を抜けて街を見下ろし
灰色の地球を見下ろした

「…ダレンと一緒だね」

初めて宇宙に行った人は
地球は青かったって言うけど
今はこんなに灰色の地球
何だかさみしい最後だったな…

星を突抜け銀河に辿り着く

あぁ光が見える

…私…ほんとは
…もっと生きたかった

真っ白な温かい光につつまれる
あぁ消えるんだ…

そう思った瞬間

何かが私の心臓をつかんだ
魂の状態でも痛みはあるのだと
ぼんやり思う。

ただ時計の音と心臓の音が
やけに近く聞こえた。



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