恋人の日





6月12日は恋人の日
そんなタイトルをふと暇つぶしに
読んでた新聞欄の端に見つけた

「恋人同士でフォトフレームを贈り合う日か…」

こんな長くイギリスに居ても
知らなかった位の記念日だ
勿論カーダも知ってる訳が無いと思うし
元々この国にも根づいていないみたいだ

記事を詳しく観ると
ブラジルにおいて縁結びの神と
されるアントニオの命日の前日
とか言う日らしい

っていうか命日の前日が
記念日になるとかちょっと何かあれだね
大体神様が死んでる訳だからさ
縁結び効果が無いんじゃないか
とか言っちゃ駄目なのか(笑

「マーラ、今日が恋人の日って知ってた?」

「えっ恋人の日って
バレンタインだけじゃないの?」

「うんやっぱりそんな反応だよね」

マーラに新聞を見せると
こんな日もあるのね…
とか言って感心していた

「絶対誰も知らなそうだよねー」

「えぇ私もそう思うわ」

とにかく今年の恋人の日はスルーね
とか言いながら笑って別れた

「よく考えたらそもそも
フォトフレームがあっても私たちの
写真ってとれないんだっけ…」

うん、写真とりたいなぁとか
思ったんだけどその案は
すぐに消えた訳だ

「ラナ」

「ん?カーダどうかした?」

「ちょっと今日は
おめかししてもらうよ」

カーダにとっつかまったと思ったら
いきなりトラスカの元に引き渡されて
凄いドレスを着せられて
あれよあれよと言う間に
何だか今にでもダンスパーティに
出かけるような姿にされて

カーダの前に出された

「カーダも随分めかしたね」

「あぁダレンもちゃんと」

恥ずかしいのかカーダの後ろに
隠れているダレンに声をかける

「ダレンどうかしたの?」

「…だってね」

「うん」

「ママ凄い奇麗だもん///」

嬉しくてダレンを思い切り
抱きしめていたら背後から
カーダに抱きしめられた

「さ、ダレンといちゃついて
ないでそこの椅子に座って」

丁寧にエスコートされて
ロココ調とかなんちゃら調とか
昔学校で習ったみたいな
素敵な椅子に座らされた

「さてお願いします」

カーダが椅子の後ろに立った
所で見知った絵を書くのを
得意とする芸人が紙を持って
出てきていっきに筆を進めていった

少ししてもういいですよー
って声と共に出来上がった
絵を渡された

「わぁ・・・」

凄く優しいタッチで描かれた
家族で初めて書いて貰った絵だった

「小さく書いた奴も
あるんですよこれもどうぞ」

ありがたく受け取ると
それではまたと
絵師さんは去って行った

「凄い素敵だね…」

でも何でだろう
うんかなり可愛く
書かれてるだろこれ…

「あぁいい記念になったよ
それで、これラナに。」

渡された箱の中を開けると

凄く素敵な
フォトフレームが入っていた

恋人の日




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