運命の帝王 15/16





「ラナ一人で帰れ…」
「一人でって…」
「お前が暗いの苦手なのはわかるけど
先に帰ってくれ」
「行け!」

近くでそんな声が聞こえた
原作とはちょっと違って
私はサーカスが終わってからここに
来たみたいだ

何とも言えない顔をしている
私に前から近寄った

「リトルピープルがどうしてここに…?」

私は不思議そうな顔をしていた
私が手を出せって身振り手振りでやると
何とか手を出してくれた

その手に(貴方の名前は××××ですか)
って書いた

「そうだよ本当の名前はそれ
今はラナそして…
貴方は私だね××。」

私は深くうなずいた

(話が早くて助かる)

「そっか…とりあえず日記を見せて」

(後ろにあるから取って)

って書いたら頷いて私
の後ろをがさがさして日記を取った

「ちょっと待ってね一通り読むから」

とりあえず劇場の屋根のない屋上で
月明かりだけで
最初から最後まで読んだ私は
私の身体を掴んで

「カーダと結婚とか羨まし過ぎる」

とか言ってうなった

「何とかしてこれを
作品にすればいい訳ね
了解した、私は…スティーブでも
幸せにしてやろっかな(笑」

(随分大きな野望だね)

って手に書いたら

「多く人の生存を
成功させた貴方ほどじゃないよ」

って言いながら頭を撫でられた
そんな時身体がパラパラと崩れ始めた

「スモルト夫人、旅の無事を祈り
貴方に魂の救済を!
そして
死て尚勝利の
栄冠に輝かん事を


なんて粋な事をしてくれるんだろう
私はとうとう塵になった

さこれで全部終わりだ
この世でやる事はだいたい出来た

今まで感じた事のないスピードで
屋上から飛び出して
劇場、街、この世をはなれて
はるか先に向かっていく

星にぐんぐん引き寄せられて
時間と空間の狭間に入る
そしてあの世に私の全ての分子が入った
真っ白な空間が続く
それでも怖くはなかった
そして落ちて行った感覚の後
手を広げるカーダの姿が見えて

そのまま私は
カーダと抱きしめあって
二人で笑いあった



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