運命の帝王 9/16





深呼吸して
神経を研ぎ澄まして
スティーブに意識を集中させた

こんなにスティーブをじっと
見つめるのはいつ以来だろう

本当は…スティーブも悪くないのにね
そんな時スティーブが口を開いた

「なぁ俺がこれを刻んだ時の事覚えてるか?」

「うん勿論」

あの時の言葉は忘れてない…

「俺は結局何も叶えれなかった…
クレプスリーも殺せてねぇし
お前を迎えに行く事も出来なかった
正直俺はガキの頃からお前が居るから
なんでも頑張ってこれた
それだけお前が好きだったんだ」

スティーブの目は真剣だった

「私は…親友として
スティーブが好きだったんだよ
でも…もしあのまま何もなかったら
何だかんだ言ってスティーブの事を
本当に好きになってたの
かもしれないけどね…」

そう言った瞬間少しだけ
スティーブが下を向いた

「それでも…今は私には
子供も居るしカーダの事も愛してる
今もこれからもこの気持ちは
変わる事は無いよ私はラナ・スモルト、
もうラナ・シャンじゃないから」

カーダは好き、大好き、愛してる
ちょっと変な出会いだったけど
一目会った時から好きだった

「…ラナ・スモルト…
お前の人生はここで終わる
この橋の下で幕切れだ
バンパイアの神々にちゃんと祈っておけよ」

次は私からスティーブに切りかかった
橋は狭くて剣が壁にぶつかりそうになる
細かく剣を動かすしかないし
体力も奪われやすくなるから
途中で素早く小型のナイフに入れ替えた

けれど…
鋭い痛みが腹に刺さった
何度も刺されて組み倒される

もう勝ったとスティーブは思ってるんだろう
でもね私も負けられないから

何かブツブツつぶやいてるけど

「こうゆう戦いに勝つコツは
ベラベラ喋らずにぐさっと刺すのみ
ってラーテンが言ってたよ」

そう言いながら力を振り絞って
女とは思えない程の力で
立ちあがった

スティーブは完全にふいをつかれて
後ろに反りかえった
そんなスティーブを私は足蹴りして
地面と対面させる
そして躊躇せずナイフをスティーブの左胸に刺した




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