運命の帝王 3/16





今日私は第二の故郷に戻って来た
やっぱり故郷ってのは未だに
日本の方がしっくり来るし
第二の故郷位にこの街は位置するんだろう

「自分のお墓を自分で見るって
やっぱり変な感じがするな…」

墓標に刻まれた

我らの愛しき子 ラナ・シャン
ここに永久に眠る

って言葉をそっと撫でた
この街を出た時は全然
この文字に気付かなかったけど
何だかこの文字を見ると少し悲しくなった

「さ、カーダもう十分
だからキャンプ地に行こうか」

「あぁ」

私達は街に入る前に一度ここに降ろして
もらった訳で今頃もう皆は
テントを張り始めている頃だろう

丘を下りて街に入ると
懐かしい風景が目に入って来た

「この街の隅々までね
1回探検した事があったんだけど
結構かわっちゃったな…」

深夜だから空いている店といえば
昔は無かったテカテカ光る看板が
付いた店が所々並んでいた

「もっとね落ち着いた街だったんだよ
ビルも無かったしこの時間には
ほとんど誰も外に出てなかったし…ぁ」

「ん?どうかした?」

「そういえばカーダの故郷はどうだったの?」

そういえば一度もカーダの故郷の
話は聞いた事が無かった

「俺の故郷はこの街よりも小さくてね
俺の時代はまだゲームセンターとか
無かったからね大人は酒場で酒を飲んで
子供は外で走り回るか家で
本を読んでる位だったかな」

「因みにカーダは何してたの?」

「俺はその頃は人見知りでね
町の人に文字が書ける人が居て
頑張っておぼえて
家で本ばっかり読んでたよ」

よくよく考えるとカーダも
100歳過ぎてるんだっけ…

「…昔も楽しかったけど
今程じゃないし…」

満面の笑顔でそう言ったカーダを
思わず後ろから抱きしめた



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