おさななじみ

「よしくんよしくん、ちょっと来なさい」
「……うん?」
「ちょっとそこにお座りなさい」
「え、なんか変だぞちづる。怒ってんの?」
「よしくん、私に言うことがありませんか」
「え、なんだろ。ちづるの作ってくれた煮物そろそろ悪くなりそう、とか?」
「そんなの捨てちゃっていいよ。またつくるから」
「おお、さんきゅ。じゃあ……お隣さん二人がスーパーで鍋の買い物してんの見たけどお前に黙っててごめん、とか」
「鍋! 仲良く鍋とな!……ソレは後ほど詳しく話を聞かせてもらいましょう。でもちがいます」
「ん……わかんねーんだけど?」
「よしくん、私あんなに言ったよね。好きな人できたら言ってね?って」
「はぁ」
「よしくん、私は今日よしくんが駅で男の子といっしょにいるのを見かけました」
「あぁ、ケンちゃん。おさななじみの。こっちに遊びに来てたついでに会ったんだけど」
「おさな……! こほん、……そのケンちゃんはよしくんの首筋に手をつっこんで笑ってましたね?」
「あ? そだったかな。なんか、寒くて「体温よこせ」ってじゃれてたし。俺体温高いからよく友達にやられる」
「やられ……! げふん。で、よしくんもお返しでケンちゃんの脇腹くすぐろうとしてましたね?」
「あーそうそう。あいつ逃げるからさー、ホーム走り回って超暑くなった。てかなんで敬語?」

「ちづる?」

「ばかっぷるか! ばかっぷるなのか! 何この子たち! 自覚ないとかどんだけだよ! もう結婚すればいいよ! わたし史上最高に彼氏に萌えました!」
「ちづる、男同士は結婚できないって、知ってるか」
「できたらするんですか! 今すぐアメリカでも行ってきなさい馬鹿!」
「しない。絶対ないからちづる。ケンちゃんも彼女いる」
「ノンケ×ノンケ幼馴染カプ……!」
「あ、……なんか目の前がにじんできた、俺……」

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