弟子入り

「あれ、倉持? 何かあったのか」
「た、高倉先輩……。な、何でも無いですっ」
「でも眼、赤いぞ。ほら言ってみろ。誰にも言わないから」
「…………あいつが、生徒会の皆さんとばっかり仲良くするからっ」
「へっ?」
「過激派を止めるの、隊長の僕だから……止めるたびに『あいつを見逃すなんて隊長としてたるんでる』って言われて……!」
「あ、ああ、なんだ、それで泣いてたのか」
「なんだと思ったんですか」
「生徒会にやきもち妬いてるように聞こえたから、お前もアイツが好きなのかとびっくりして」
「ば! ばかじゃないですかっ!」
「ほら、アイツ美形ホイホイらしいから、一応警戒してるんだよ。ごめんな」
「もう!」
「ま、それは置いといてさ、やっぱりアイツは生徒会から遠ざけたほうがいいのか?」
「そんなこと、できると思います?」
「倉持は、アイツが人に負担を負わせて無視するようなひどい奴だと思うか?」
「……思わない」
「だろ? 倉持の現状を言えば絶対何とかしてくれると思うぞ」
「でも、ぼくは……最近の鷹匠会長や皆さんは、前より素敵だと思うから。くやしいけど」
「うん?」「だから、遠ざけて生徒会の皆さんを悲しませることになったら、もっと自分を許せない」
「うん」
「それに隊員があんなこと言い出したのは、ホントはあいつのせいじゃないんです。僕がなめられてるから……隊員をまとめきれてないからです」
「ふむ」

「そうだ! 僕を、高倉先輩の弟子にして!」

「へ? 突然、どうしたんだ」
「高倉先輩みたいなヒーローになって、隊員がそんな口聞けないくらいしっかりして、強くなるっ」
「……おぉ」
「な、なんですか、その呆けた顔。笑う気ですか」
「いや、ちょっとお前のこと尊敬した」
「は?」
「……お前、やっぱり隊長にふさわしいよ。上に立つ人間は、そうじゃないとな」
「なっ!」
「あ、照れるなよー。俺まで照れるだろ」
「ちちち、ちがうもん! 照れてなんか!」
「よし! わかった! 弟子にしてやる!」
「な、撫でないでよ!」
「ありがとなー、アイツのこといっつもかばってくれてたんだな。知らなかった」
「あ、ああ、あいつのためじゃないもん! 誤解しないでください!」
「わかってるわかってる。お前も恋のライバルだったんだなぁ」「ちーがーうー!」
「稽古はつけてやるが、アイツのことは渡さないからな」
「先輩のばかぁ!」

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