布教活動中

「こんにちは」
「……高倉先輩、また犬の布教ですか?」
「ああ。今日こそは君に犬派になってもらおうと思ってな」
「だから、何度も言ってると思いますけど、俺両方好きですってば」
「いやいや、どっちかって言うと犬がいいだろ?」
「……猫だ」
「鬼沢! お前まだそんなこと言ってるのか? どう考えたって彼は犬派じゃないか」
「猫に決まってんだろが。お前の眼は節穴か」
「あの、両腕引っ張るの、やめて欲しいんですけど……」
「大人しそうで控えめなところなんて、犬の従順さそのものだろ!」
「うるせぇ、こいつはな、夜になると自分自身もネコになって騎じょ――」
「先輩、それ以上言ったら今後一切アレは無しです」
「!」
「鬼沢?」
「とにかく……コイツは猫って言ったら猫だ」

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