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(拍手ありがとうございます。
お礼文はウィンガルさんです。)




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「おい」

「ん…」

「起きろ」

「んん…ウィンガル?」


長い睫がゆらゆらと動く、寝ぼけ眼を擦る彼女はまだ夢と現実の間を彷徨っているのかと、ウィンガルは小さく息をついた。中々姿を現さないのでもしやと思い部屋に来てみればこの有り様だ。一方彼女はゆらりと体を起こし欠伸を噛み殺す。


「寝るならベッドで寝ろと何度も言っているだろう。風邪ひいても看病はせんぞ」

「寝るつもりはなかったの。あーあ、いい夢だったのになあ…」


感慨に耽るように彼女の視線はぼんやりと宙を仰ぐ。そしてウィンガルを一度見、さっきとはまるで一変して落胆の表情を見せた。もちろん自分の顔を見た途端そんな表情をされてはいい気はしない。なんだと睨むようにウィンガルが彼女を見下ろせば、返ってくるのは大きな溜め息。


「夢の中の貴方はあんなにも優しか…いえ、気にしないで」


墓穴を掘ってしまった、と彼女はたった数秒前の自分を呪った。
途中で言葉を濁したとはいえ、一国の参謀を担っているウィンガルが自分の言葉の意味を理解しないと思うか。答えはもちろんノーだ。現に目の前にいる漆黒は僅かに口端を上げている。彼がこうして含んだ笑みを見せる時は、大抵よくないことが起きるものだと身を持って知らされている。
だからこそ彼女は危険を回避すべく立ち上がろうと、ソファに手をかけた時だった。

嗚呼、遅かった。


「う、ウィンガル…」

「夢の中の俺はさぞかし優しかったんだろうな」

「や、そんなことはっ」


慌てる彼女の言葉を遮るようにウィンガルが口付けを落とす。彼女を挟んでソファに両手を置き、追い詰めるようにして逃げ場を失くした。
ああ、本当に自分の馬鹿。
案の定まずい展開になったと、彼女の顔が段々と引き攣っていく。その表情すら彼を煽る原因の一つだと言うことは一切知らずに。


「優しくしてやるから、大人しくしろ」


首筋に一つ、赤い印を残されソファに沈みゆく。自分に覆いかぶさる漆黒のぎらついた黄色の瞳はまさに獲物を狩る時の鷹のようだ。
ああどうにでもなれ。諦めたように彼女は瞳を伏せた。

だってそんなこと言って、最終的には泣くまで追い詰めるくせに。



夢の中の自分に嫉妬 (20120123)
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