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「分かってたのになあ…」

「私じゃミラには到底敵わないってこと」


彼女の乾いた笑い声が虚しく響いた。明るく振る舞おうとしているつもりなのだろうが、彼女の声は震えている。いつも煩わしいくらい元気な彼女の出した空元気は、それはもう見るに耐えなかった。

きっと隣を向けば、眉間に皺を寄せ今にも泣き出しそうな顔をして笑っている彼女がいるのだろう。だからあえて俺は彼女の方を向かなかった。


「…今だけなら胸を貸してやる」


そう呟けば、彼女は小さく頷いて俺の胸に静かに頭を置く。ウィンガルは優しいんだね。鼻声で頼りない声がすぐ下から聞こえる。

ああ俺なら、お前をこんな風に泣かせたりはしないのに。俺を選んでくれれば、ずっと大切にするのに。


遠くから自分たちを見つめる鋭い赤の瞳には気付かぬフリをして、俺は彼女の華奢な背にゆっくりと手を回した。



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陛下はミラのことが好きだと勘違いしているヒロインと、ヒロインはウィンガルのことが好きだと勘違いしている陛下。ウィンガルはそれらを知っているけれど言わない。両片思いと片思いの三角関係的などろっどろした恋。いつかは書きたい。

…でも需要あるの?笑
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