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「ずるい、です…」

「そんなこと言われて突き放せるはずがないこと、分かっているんでしょう?」

「…さあな」


抱き締められた身体が柔らかいベッドに沈んでいく。まるで深く、深く、もう二度と這い上がれない様にと。

彼の熱っぽい吐息が私の鼓膜を支配して、大きな手が私の手と絡み合う。

そして首筋に口付け、それが甘い夜の始まりの合図。私は今日も彼を突き放せないまま、身体を委ねるの。


(嗚呼、本当はね、本当は分かってる。突き放せないんじゃない。)
(突き放したくないんだって、)

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