ss | ナノ



いっそのこと、死んでしまえば楽になれるかもしれないと彼女は思った。どんなに手を伸ばしてもどんなに叫んでもきっと届くことはない。かといってこの気持ちを失くそうとしても、もう遅かった。戻れる道は既にない、しかし前に広がるのは棘道のみ。やり場のない想いは彼女に苦痛を与えるしかない。

私が違う人を好きになっていれば。彼が私のことを好きになってくれたら。彼と出会わなかったら。こんなことにはなっていなかったの?その問いに答えてくれる者はいない。神ですら口を閉ざし、彼女をひたすら闇につき落とす。嗚呼、なんて残酷な世界だ。



「隈ができている。ちゃんと寝ているのか」

「ガイアスこそ。ちゃんと寝てるの?」

「俺のことはいい。俺はお前のことを聞いている」



貴方は優しいんだね。だけどその優しさが私を苦しめていること、貴方はきっと一生知らないでしょう。ううん、知らないでいて。
彼女は引き攣った顔で笑む。後ろにも前にも足を踏み出せぬまま、また今日も彼女は立ち尽くす。

--------------------------
どろっどろの三角関係的なものの続き。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -