足りない言葉と足りない想い。
やっぱり私はどちらも諦めきれずに只貴方にあてない期待を向けては一人うなだれている。

待つことは、意外にも得意な方だった。
だけど好きな相手が自分に望む通りの言葉をくれる保証なんてどこにもない。だったら追い掛けて散った方がまだマシだろうか。なんて考えた所でいつだって足踏みしてしまう。

「木暮くん!悪戯もいい加減にしなさい!」
「うわっ!」

こうした接し方しか知らない私の気持ちは、お節介としてしか、木暮くんには届いてないかもしれない。
臆病なのはお互い様だったけれど、私の下心だけは、私の中から少しも零れないように、いつだって気を付けている。
恋はいつだって身勝手だ。好きでいられるだけで幸せなんて、それはまだ恋じゃないからだと思う。
もっともっと。足りない足りない。際限ない欲を生むのは何時だって私の恋心だ。

「ねえ木暮くん、私のこと、好き?」
「はあ!?」
「当然、友達として!」
慌てて入れたフォローにも、木暮くんは眉を少し顰めながら、「まあ、好きか嫌いか言われたら、好き、な方」と答えてくれる。
瞬間、たった一言。彼の好きに満たされる私がいる。少なくとも、側にいることを許されたような、そんな気になる。
直後、やっぱり私の中の恋心が動き出す。もっと、もっと。足りない、足りない。
ああ、やっぱり。私は貴方に愛されたい。





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