プリズムのきらめきを広めにいくの。もういくつの世界を渡り歩いて来たのか自分は忘れてしまったけれど、こうして虹を渡っていけるのならば、私はきちんと自分の使命を全うしてきたのでしょう。もしかしたら、記憶の一切を旅立ちと共に捨てて行く道は寂しいものなのかもしれない。プリズムのきらめきはきっと沢山の人を笑顔にしてきたはずだから、そのどれも覚えていられないのは寂しいだろうし、勿体ないのかもしれない。自分がどんなことをしてきたのか、その世界の人たちに、自分がどんなきらめきを見せて貰えたのか。旅立ちという過程と前途だけが道標だった。
「だけど――ハピなる!」
 そう、ひとりじゃない気がするの。何故かしら、私は誰のことも何処のことも覚えてはいない。だから誰かを探しているわけでも何処に向かおうと決めているわけでもない。過去から貰ったきらめきは、もうその世界に私の必要性がないことの証拠。けれど居場所ならあるはずよと胸が温かくなるの。
 こんな気持ちをくれたあなたはだあれ?
 この虹の根元には、まだきらめきを知らない未知の場所。通り過ぎてきた時も場所も戻らない。けれどきっと私は変わったのでしょう。何かを貰い、何かを捨てて。そして私は感じている。優しい誰かの気配。顔も名前も思い出せないけれど、きっと笑顔でいるでしょう?
 だから今日も世界は咲くわ! プリズムのきらめきはいつもあなたたちの傍にあること、どうか忘れないでね。


20140617


≪ | ≫

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -