キャプテンのことを考えるとね、胸のあたりがきゅううってするんだ。締め付けられるっていうより、内側から痺れるような感覚。痛くはないと思う。痛いのってイヤだけど、この感じはイヤじゃないから。病気でもないから、病院にはいかない。でも放置しすぎると症状が悪化してしまうかもしれない。手遅れだろうか。胸に手を当てて首を傾げる。答えはない。それば僕が決めることだから。
 何でキャプテンはキーパーなのかな。白恋中だったら、僕はディフェンダースタートだからキーパーとは近くにいられるのにキャプテンと同じチームにいるときは最初からフォワードだから見えるのはキャプテンのちっぽけな姿だけだ。勿論存在感はゴール前から離れなくとも凄いんだけどね。背中にググッと感じるんだ。「行けー!!」って大声がピッタリ僕に追いつくんだよ。だから任せてって気合い入るの。でも今日は相手チームのマークが素早いし複数だし、その分豪炎寺くんが手薄だったからアシストにまわり気味だったよね。キャプテンは試合が終わったら労ってくれたけどやっぱり、ゴール決めたときより瞳の輝きが控えめだった気がする。それでその後キャプテンが豪炎寺くんのこと褒めちぎるから僕思わず恨めしい目をして彼を見ちゃったよ。よっぽとわかりやすかったのか風丸くんに注意されちゃった。幼なじみでポジション上位置取りもキャプテンと近い風丸くんには僕の必死さがわかってないんだと思うよ。豪炎寺くんが次は自分がアシストしてやるって言ってたけど、絶対だよ! 僕、こういう約束忘れないからね!
 僕がキャプテンのことを考えて胸がきゅううってなってる間にもキャプテンが僕のこと考えているかなんてそんなことはあるはずない。キャプテンの頭の中ってサッカーしかないもの。わかりやすくていいよね。キーパーなのにゴール放り出して得点に絡んできたりするのは驚くけど。だからキャプテンはゴールが好きなんじゃなくてサッカーが好きなんだ。当然か。ゴールが好きっておかしいよね。流石に白い徹枠とネットに負けるなんて僕も凹むからね。あと最近はタイヤまでライバル視し始めた僕の切迫した気持ちを誰かわかってくれないかな。サッカーなら僕も好きだから、僕の好きなものをキャプテンも好きって考えると今度は幸せな気持ちになってくるよね。サッカーのこと好きな人なんて世界中にいるけど。でも僕とキャプテンを出会わせてくれたのは間違いなくサッカーなんだから。生まれも育ちも北海道で、何回も出掛けている場所からの帰り道で凍死しかけるなんて情けないけ姿を見せたけど、ガチガチ寒さに震える僕に屈託なく笑いかけてくれたキャプテンに心が温かくなった記憶。彼とはどんな形であるにせよ一緒にサッカーをする予感があった。そうして繋がっ
た縁が続き僕はマフラーを外し世界にまで飛び出したんだ。たった一つの出会いが、僕の世界を塗り替える扉になった。そして目指していた完璧の意味を知った僕はこれからもサッカーが大好きだよ。
 イコール、僕はこれからもキャプテンが大好きってこと!



20140730


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