朝目覚めると、隣にとても扇情的な表情で無防備に眠っている七緒ちゃん。私は吸い寄せられるようにその薄い唇にキスをしました。しかし、七緒ちゃんは身を捩り、愛らしい声で唸るだけで起きる様子はまったくありません。
 そのまましばらく、寝顔を見つめるという至福の時間を過ごしていると『さやかちゃん……』と縋るように私を呼ぶ声がしました。目覚めたのかと思い、おはようのキスを贈るために距離を縮めます。ところが、七緒ちゃんは起きたのではなく悪夢にうなされ愛する私の名前を呼んだだけなのでした。
 寝かせて置くのは可哀そうだと目頭に少し溜まった涙を舐め取りそのまま瞼に唇を寄せます。すると今度こそ七緒ちゃんは目を覚ましました。
 悩ましい声を発し、重そうに目を開ける姿が可愛くて愛おしくてずっと触れていたくて何度も何度も口付けます。おはようのキスです。
 そうしているうちに覚醒しきった七緒ちゃんは、何度も繰り返される私の行為に恥ずかしくなったのか、必死に首を横に振りいやいやをします。寝起きのだからなのか、幼児のような行動に胸の辺りが締め付けられ、私はもっと七緒ちゃんに触れたくなってしまいました。しかし、抜かりなく両手で口を塞いでいるせいで唇にキスをする事は叶わず、私は仕方なく服が捲れ露出した白いお腹に唇を這わせます。……そう、仕方なく。
 触れた瞬間七緒ちゃんはびくりと身体を震わせると、反射的に仰向けだった身体をうつ伏せにします。そうですか、背中が悦いんですね。
 今度は意図的に服を捲り上げ、背骨に沿って優しく指を往復させます。七緒ちゃんがそう望むのでしたら、いくらでもしますよ。もう、仕方がないですね!
 七緒ちゃんの柔肌を指で楽しんだ後はお腹に引き続きキスをします。七緒ちゃんは何故か疲れ切っていて抵抗してきません。というより悦んでいるのでしょう。きっとそうに違いありません。
 だんだんと上へ上へ移動し、私は先程まで塞がれていた唇に自分の唇を重ねました。そして、やっとここでこの言葉を口にするのです。
『おはよう』



という夢を見たかったです……
(夢でいいから現実じゃなくていいからと、切実な願いを今にも泣き出しそうな声で言う舞園さんに、何故だかボクも泣きたくなった。)


14/5/23
(という夢を見たんだ)

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