園崎詩音


姉妹 〜詩音の場合〜


「ん…お姉ちゃ、ん?」

目を覚ますと私の髪と同じ、綺麗な緑色が視界に入る。
ぼやけて良く見えないけど私に触れる手が冷たくてとても気持ちいい。

「おはようございます、なまえ。まだ熱…下がってないみたいですね」

気分はどうですか?
頭を撫でながら笑顔で言うその人。
しゃべり方もそうだけど声でわかる。
この人は詩音だ(魅音と同じとか言わないで!)

「ん…少し楽になったよ」
ねぇ詩音。もしかして、ずっとここにいた?

なんとなく、なんとなくだけどそう思ったので聞いてみる。
二人の姉は自分で言うのは難だが私を溺愛してる節があるため、考えられないことではなかった。

「はい、当たり前じゃないですか」

お姉も看病したいって言ってたんですが、学校があるんだから!
って追い返してやりました。

「何言ってるの…詩音も学校あるでしょ」
「私はいいんです」

いつものことですから。
けろっとした顔でそう言う詩音に私は苦笑い。
たしかにいつものことだけど…良いコトではない。

「ん、でも…ありがと、すっごく嬉しい」

力なく笑ってみせると詩音は顔を赤くする。
…珍しい、いつもは私の方がそうなる側なのに……。

「か…可愛すぎです!」
「きゃあッ」

そんな言葉と共に詩音は私に覆いかぶさって来た。
ちょっ…何やって……!

「お姉ちゃんっ…やめ、」

徐々に近付いてくる顔を必死で押し退ける。
平常時でも勝てないのに、熱まであったのでは勝てるわけもなく…



…私はお姉ちゃんに唇を奪われてしまった。
「なまえは私のものですからね」
という余計な一言付きで……。


09/9/14

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