川嶋亜美


姉妹 〜亜美の場合〜


「ねえ、亜美。こっちとこっちどっちがいいと思う?」

汚いぐらいに服を散乱させ、そう聞いてくるのは他でもないあたしの姉。
楽しそうに、嬉しそうにしているその姿にあたしの中の負の感情は大きく膨らんでいく。
姉妹なだけあって亜美ちゃんみたいに可愛いし…?
男にデートに誘われるのはわかるけど、やっぱり…むかつくもんはむかつく。

「ね〜え〜、あーみぃー」
「はあ…こっちでいいんじゃね?」

気付かれないようにため息を吐き、うるさくしつこい姉を黙らせようと適当に答える…。
いや…適当なんかじゃない。
あたしは今、わざと似合わない方を選んだ(まあ、どっちも憎たらしいくらい似合うんだけど。)

「………」
「何よ」

あたしが言ったことが気に入らないのか、なまえはジト目でこっちを見てくる。
気に入らないんだったら聞くんじゃねーっつの。

「…ううん、ただ……亜美らしくないなって思っただけ」

亜美がこっちの方がいいって言うんだったらいいんだけど。
意味深な言葉を発し、鼻歌を歌いながら嬉しそうにさっきの服を自分に"合わせた"。

「一応聞くけど、あんた今日どっか行くの?」
「ぅえ?…何言ってんの、亜美…」

今日はどこも行かないよ?
少し上目遣い気味に言う姉に少しどきっとする。

「じゃあ、何やってんのよ」
「明日亜美と出かける時の服選んでるの」
「なっ!」

てっきりわかってたのかと思った。
「あ、もしかして妬いた〜?」
「はあ〜?なんで亜美ちゃんが妬かなきゃなんねーの?」

ありえないっての。
もう既に気付かれてるはずだけど、ここは譲れない。
てか、あたしの口から言ってたまるかって…

「服、こっちよりもそっちのがなまえに似合ってる」
「…!うん、わかった!ありがとう亜美…明日、楽しみだね」


09/9/14

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