逢坂大河


朝 〜大河の場合〜


朝。
目を覚ますと、妙な感覚が身体にあるのを感じた。
…よく見ると、それは大河が私に乗っているせいで……。

「はあ、」

私は大きくため息をつく。
こいつは、いつになっても成長しないのか!
と、軽く額にデコピン。
高校生の時から変わらないその中身と体格。
中身は…まあ、よそへ行けばしおらしくなるけど…(その分私への風当たりは酷いもんだ。)

「んぅ…」

天使のような寝顔。
まるで小さな子供のように、私にしがみつく大河は、まだまだ幸せそうに眠っている。
起こすと、怒り出すような気もするけど、これじゃあ私があまりにも不憫だ!

「大河あー。起きろ!起きないとキスするぞー」

これで起きたらちょっとショックだなー、と思いながらも試しに言ってみる。
すると、大河は不機嫌そうな表情は私を睨み付けてきた。
え、てか…起きやがった…。

「ちょっと大河!それ酷くね?」
「はっ、酷い?なに言ってるのよ。ばっかじゃないの」

ベッドの上で立ち上がり、鼻で笑う大河。
ちっさいヤツに上から見下ろされるこの感じ、ああ不愉快だ!

「なまえ、あんた今失礼なこと考えたでしょ」
「え…?カ…カンガエテナイヨ。…うん、勘違いじゃないかな?」

私がそう言うと、大河はもう一睨みする。
そして超人的な跳躍力を見せ、私の上に"落ちて"来た。
た、たいが…私、そろそろ限界です…。

「あれ…?死んだ?」
「ぅおい!死んでねーよ、死んでたまるか!」

そうよねー、あんたがそんな簡単に死ぬわけないわよねー。
…だって手加減したもの。

ちょ、ま……い、今ので手加減してんのか?
いくら命があっても足りないって……。

「さあ、なまえ。早速朝食を作って頂戴」
「……」
「ああ、心配しないでいいわよ。しばらくは食事のために殺さないでいてあげるから」
「(うわあ、私って本当に不憫な子…)」





小さいのは相変わらずだけど、

今日も大河は絶好調です。


09/8/12

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