川嶋亜美
朝 〜亜美の場合〜
朝、目が覚めると自分の部屋にいた。
確か昨日は、亜美と居酒屋で飲んでいて…
「うああ、自棄酒か…」
仕事で一緒だったカメラマンがうざくてうざくて亜美に愚痴聞いてもらってたんだっけ、
しかも、送ってもらっちゃって……悪いことしたな。
できたらお詫びに何かしてあげたいけど…。
「え、あ…亜美?」
とりあえず水だけでも飲もうとキッチンへ向かっている時だった。
リビングに置いてある、二人がけのソファに亜美が丸まって寝ているではないか。
なんだよ…
「一緒に寝ればよかったのに」
でも、亜美らしくて可愛いな。
少し汗ばんで顔に張り付いた髪をそっと払い、唇を落とす。
「ん…?」
「あ、起きた」
まるで、王子様のキスで目を覚ますお姫様の様…。
あれ、今すっごいクサいこと言った…?
うっわ、なし!今のなし!
「…っ!」
「亜美、おはよ」
「…おはよ」
眉間にしわを寄せて睨んでくる亜美。
相変わらずご機嫌斜めのようで…
「何よ」
「いや…昨日のお詫びに何かできないかなー…と思いまして」
「……」
亜美は何も答えず黙り込む。
あ…!買い物とかいいかもね!
そうと決まれば早速準備しよう!
そんな空気に耐えられなくてそう言うと、亜美はあたしの服の裾を掴んだ。
「亜美?」
「なまえ…、一緒にいて…」
「え?」
真っ赤な顔の亜美。
突然すぎて理解できないあたし。
「っ…今日一日あたしの世話をすれば許す」
「…わかった。今日はずっと一緒にいるよ」
「なっ、い…一緒にいて欲しいわけじゃねーし!」
「はいはい」
素直じゃないのは相変わらずだけど、
今日も亜美は可愛いです。
09/8/12