視線が交わるそのわけは


「ねえ律、最近よく私のこと見てるみたいだけど…何で?」
「へ!?い…いやあ…それは、ね?」

ね?なんて言われてもわかんないって…。
若干呆れながらも、どうしても気になる私は「言わないとスティック折っちゃうぞ(はあと)」という意味を込めて律を見つめる(多分伝わってないし不可能だ)
すると律は「…っ、そ、そんなに見るんじゃねー!」と言って、持っていた練習用のスコアブックを私の顔面に押し付けてきた。
うっわ、ひどいよ律!律ひどいよ!

「教えてくれたっていいじゃんかー」

ばーか、ばーか。と
無感情に私は続ける。こりゃ、もう吐くまで居座るしかないか?
そんなことを考えていると、真っ赤な顔の律が「絶対嫌だ」なんて言い張る。
え、てか…

「律、何で顔赤いの?」
「え、う…あー、夕日のせいだ!」

いや、今昼だし…不健康なことにカーテン締め切ってるじゃん!
律の部屋は日当たりがいいんだからちゃんとカーテン開けなきゃもったいないよ。

「てゆーか、それに気付くってことはなまえも見てるってことじゃないのか!」
「うん、見てるよ。…それがどうかした?」
「な、ななななななな…!」

律が更に顔を赤くさせて固まる。
あれ…?私変なこと言った?
さっきの言葉を思い出して考えてみるけど、思い当たる節がない。

「じゃ、じゃあ…あたしを見る理由はなんだ?」

理由、か。
面白いから?(…ちがう)
じゃあ、なに?

気付いたら目で追いかけてて…
笑ってるのをみたら、嬉しくなって…(それでいて悔しくて…)


っ…もしかして、もしかして…

「律、私…律がs!きゃあっ」

急に腕を引っ張られ、綺麗に律の腕の中に納まる。

「り、つ…?」
「そっから先はあたしが言う」
「……」
「好きだ。なまえ」
「っ…!わ、私もすき…です」






視線が交わる
  そのわけは


(暑いよ、律)
(ごめん、しばらくこのままでいてくれ…)
(しょうがないなぁ)


09/8/6

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