放課後の約束


彩南高校の図書室。
昼休みだというのに静かなこの場所。
私はその図書室の奥にあるパイプ椅子にヤミちゃんと二人で座っていた。

「みょうじなまえ…」
「んー?」
「あなたは何をしているのですか」

んー、そうだなあ。と考えるものの、最も適当な答えが思い浮かばない。

「抱きしめてる?」
「そんなことはわかっています」

こうやって話をしている間にも本を読みっぱなしのヤミちゃん。
ん〜すべすべお肌っ、気持ち良い…。

「離して下さい。ベ、ベタベタされるのは…キライ、です」
「うーん、でもその割に嫌がってないよね」

本当に嫌なのかなー?
なんて、調子にのって言ってみるものの、本気で嫌がられたら私の命って…確実に亡き者になる気が。
おお、怖い。

「みょうじなまえ」
「なまえでいいよ」
「なまえ…」
「うん、何?」
「…あなたなら、嫌じゃ…ない。むしろ」

その言葉についつい口元が綻ぶ。
…なんだ、普通の女の子みたいな表情できるじゃん。

「ヤミちゃん、今日の放課後またここに来てよ。たいやきでも食べながら買い物でもしよっ!」
「たいやき…」
「うん、たいやき」
「それはいいですね」
「じゃあ、放課後!楽しみにしててね」








(あなたのことは嫌いじゃない。むしろ…好き――。)


09/7/31

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