信じて下さい。


「ねぇ、なまえ」
「なあに、ハルヒ」
「あんたたちって、付き合ってるの?」
「は?」

俺はハルヒの言うあんたたちってのが俺となまえを差しているのだとわかり、耳を傾ける。
ハルヒのセリフは思わず拍子抜けするような内容だったが、十二分に的を得た疑問だった。

「何で皆同じようなこと聞いてくるかな?あたしらはただの幼馴染よ?」
「だってそれだけには見えないわよ、仲が良すぎるもの」
「何?妬いてるの?大丈夫よ!あたしはキョンのことは好きにならないから」
「な、何言ってんのよ!あたしは別にっ」
「大丈夫だって言ってるじゃない。キョンはハルヒにあげるわ」

いきなりのキョンを好きにならない宣言。
告白すらしてないのに俺は失恋決定。
思い切り勘違いされたハルヒも例外ではないはずだ。

怒りやら恥ずかしさやらであんなに顔が赤くなるくらいだからな。







帰宅時間になるとキョン以外の団員全員が席を立つ。

「キョン、帰るわよー」
「…おう」

様子がおかしかったのでそういって話しかけると幼馴染クンはだるそうに立ち上がった。
確かにいつも気だるそうにしているけれど、それよりも酷い…。

「ねぇ、キョンの家今日も寄っていっていい…?」
「ああ」

しばらく歩いてキョンの家に着くと、あたしはキョンよりも早く敷地内に足を踏み入れる。

「お邪魔しまーす」
「あ、なまえちゃんだ!」

そう言って家に入ると、廊下を歩いていた妹ちゃんに出迎えられた。

「久しぶり、元気だった?」
「うん。なまえちゃんは?」
「元気だよー」
「そこ邪魔」
「あ、ゴメン」
「そうだ、お前何飲む?」
「何でもー。私先部屋行ってるね、じゃね、妹ちゃん」

妹ちゃんに一時の別れを告げ、キョンの部屋に向かう。
む、相変わらず綺麗な部屋ね…。

私はすることもないのでとりあえず漫画本を一冊本棚から抜き取ってベッドに腰かけた。

「お茶持って来たぞ…って、お前なあ…」
「んー?」
「スカート、捲れてる」
「ん、ああ本当だ」

どうやらあたしは無意識のうちにベッドに寝転んでいたらしい。

「おい」
「んー?」
「直さないのか?」
「面倒」
「はぁ、俺はこれでも男だそ」
「キョンはこんなことで何かするような男じゃないし」

それに、キョンはあたしみたいな女には興味ないでしょ?
みくるみたいな可愛い年下の女の子がよく似合う。(みくるは年下じゃないけどね。)



「きゃっ。ちょっ!いきなり触らないでよ」
「へぇ…お前、太股苦手なんだな」

ちょっと仲が良すぎる気はするけど、

「な、何よ。こっちくんな変態!」




これでもただの幼馴染なんです。


執筆07/11/24
加筆08/11/20

 top 
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -