紅い頬
少し重い身体を起こし、自然と出る欠伸に口元を手で隠す。
あれ、何でだろうとてもいい匂い…。
私は、やはり重い身体のまま寝室を出て匂いのする方へ向かった。
「なんだ…。なまえさんか」
「他にお世話してくれる人でもいるの?それに、ここは私の家よ」
私の言葉に怒ったように返事を返してくるなまえさん。…あれ?なまえさんがそういうこと言うなんて珍しい。
「いません、いません。なまえさんだけ」
「どうだかねー」
そう言いながらも機嫌を直してくれる。ああ、可愛いなあ。
「あ、ちょっと聖!?離しなさいっ」
いつも私が抱きしめるとなまえさんは顔を紅潮させる。その時がなまえさんが子どもに見える数少ない貴重なひとつ。
「好きです」
「はいはい」
「愛してる」
「私もよー」
こんな言葉ひとつじゃまったく反応してくれないのに。
「聖、早く準備しないと遅刻するわよ」
「今日は休む」
「だめよ。私の所に泊まった次の日に休んだりなんかしたら、聖の親御さんに何て言われるか…」
「ちぇっ」
「それに、貴女は白薔薇さまなんでしょう?」
何よソレ。なまえさん厳しすぎ。
「今日は特別に送ってあげるから」
「え?」
「それでも行かない気?」
確かに嬉しいけど、何故か悔しい。
「なまえさん自意識過剰…」
「そんなこと言ってると蓉子ちゃんに言いつけるわよ」
「なまえさんのいじわるー」
「何とでも言いなさい」
そう言いながらもなまえさんは終始笑顔。
なんというか、…恐ろしい。
「朝食できたけど食べる?」
「食べます」
そう言ってなまえさんが用意してくれたのは純和食の朝食。んー、美味しそう。
私はなまえさんの料理が大好きだ。
初めて食べた時はホントにびっくり。文武両道なうえ料理までプロ並って一体どういうこと!?なんてね
なまえさんはモテる要素が多くて困る。勿論男女関係なく。
「何でなまえさんは私と一緒にいるの?」
「何で…って、好きだからにきまってるじゃない」
「…もう1回言って」
「好きよ、聖」
愛してる。
微笑んでそう言うなまえさんはすごく綺麗で、自然と身体がなまえさんに吸い寄せられていく。
「ん、聖。まだ朝よ」
「じゃあ夜ならいいの?」
なまえさんの首筋に唇を這わせるとなまえさんは小さく声を漏らす。…可愛い。
「ばか」
顔を紅潮させて言うなまえさんはやはり子どものようだ。
「早く食べて早く行きなさいっ」
「ああっ、送ってくれるって言ったのにっ」
「残念。私をからかった罰よ、帰ってきてからもまだまだ続くから覚悟しなさい」
前言撤回。
…やっぱりなまえさんは恐ろしい。
07/11/11