それぞれの気持ち


志摩子さんがなまえさんのことを好きなのは知っていたけれど、あの志摩子さんが行動に起こすなんて少しも考えていなかった。だって、話したことがないってなまえさんも言ってたし、私のほうがなまえさんに近い存在だったから。だから、だから、志摩子さんとの約束のことをすごく喜んでいたのを見て驚いたし、それとともに悲しかった。いつもと違う優しい笑み。本人は自覚がないかもしれないけれど、なまえさんをずっと見ていた私にはわかる。…なまえさんは志摩子さんが好きなんだ、って。


私は諦めをつけるために放課後に残ることにした。今日は山百合会の仕事も休みだから都合がいい。

「私、貴女が好きなの。」
「私…も。」

わかっていたはずなのに、涙が溢れた。…止まらない。止まらない。





告白なんてされると思っていなかった。…だってあの志摩子さんだよ?約束をしたあの時も彼女が目の前にいて、私に対して言葉を発していたなんて信じられないのに。でも、志摩子さんの言葉を聞いてからそんなことどうでもよくなってしまった。それに、心臓がうるさいくらい高鳴って…。

「よかった…。」

私から少し離れて嬉しそうに笑う志摩子さんはすごく綺麗で、思わず抱きしめてしまった。私よりひとまわりくらい小さい志摩子さんは簡単に腕の中に収まる。自然と笑みが零れた。
…志摩子さんが好きだ。





なまえさんがずっと好きだった。祐巳さんと一緒にいて、笑って、話している姿がとても好きだった。でも、それだけじゃ物足りなくて…だからあの日、なまえさんと放課後に約束をした。話がしてみたくて。最初は告白なんてするつもりはなかった。だけど…。

「ぎゃっ」
「もうっ祐巳さんかわいい!」

なまえさんが祐巳さんに抱きついているのを見てしまい。居たたまれなくなった。…お姉さまは平気だったはずなのに。

自分の想いを言ってしまったあとこぼれた「よかった」という言葉はどんなことよりも本当のことだった。



好きよ、なまえ。


07/10/22

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