ずっと、ずっと、


「なまえさん。」

私、みょうじなまえはどうしたものかと悩んでいた。
何故なら、あの麗しき白薔薇さまが私の目の前にいるからだ。
確かに同じクラスではあるが、別に親しいわけでもない。
なのに何故?何故なの!?

「なまえさん?きいていらっしゃる?」
「ああああ、はいっ、きいてますっ。…えっと、…何でしたっけ?」

私がそう言うと白薔薇さまはクスクスと小さい声で笑った。
嗚呼、本当に綺麗な人だ。

「今日の放課後空いてるかしら?」
「え?や、空いてるには空いてるけれど…」
「そう?じゃあ教室に残っていて。」
「うん、わかった。」

やっぱりわからない。白薔薇さまは一体何のために私とそんな約束をするのだろう。
今会話したのだってほぼ初めてなのに…。

「なまえさん?」
「へ?あ、祐巳さん…」
「何だか嬉しそう。何かあったの?」
「志摩子さんと放課後の約束を。」
「えっ!」

そう言うと祐巳さんはちょっと大げさに驚いた。
その後も少し考え事をしているようで、百面相をしている。
祐巳さんは可愛いなあっ。

「ぎゃっ」
「もうっ祐巳さんかわいい!」
「なっ…なまえさん!?」

我慢できなくなって不意をついて抱きつく。
そうすると祐巳さんはいつものように恐竜の子供みたいな叫び声をあげる。

「……」
「祐巳さん、顔赤い。」

ね、熱でもあるのかな??

「祐巳…さん?」
「な、なんでもないよ!ご、…ごきげんよう!」
「ごきげんよう…?」



楽しみにしていたからなのかはわからないけれど、放課後はすぐに来た。
偶然他のクラスメイトたちも帰っている。…でも志摩子さんはまだ掃除から帰ってきていないみたいだ。
しかし、志摩子さんは私なんかに何の用なのだろうか。まったく想像がつかない。
その時、…だった。背中に人の温かさを感じたのは。

「志摩子…さん?」

鼻腔をくすぐる志摩子さんの甘い香り。

「このまま…きいてもらえるかしら」
「うん。」





「私、貴女が好きなの。」


07/10/21

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