弱点は、あなた。
「弱点…?」
不思議そうな顔で詩音はあたしの言葉を復唱する。
詩音の弱点。
魅音に頼まれて聞いたことだけど、あたしも気になる。
いっつもやられてばっかだから仕返ししたいもん!
「ああ、お姉ですか…」
「え?」
「一体いつどこでそんな話をしたんです?」
何かを思いついたかのように言う詩音。
表情に出ていたのか、あたしの顔に一瞬だけ視線を向け怒ったように話を続ける。
「い、言わない!」
とはいったものの、
詩音の鋭い視線に心が折れそうだ…
なにもそんなに怒らなくたっていいでしょ…。
「怒ってるわけじゃないです!ただ…」
「な、なに?」
いきなり口ごもる詩音にあたしは首を傾げる。
はっきりものを言わない詩音なんて、初めて見た。
「ただ…お姉と一緒にいるなまえを想像して…」
むかついただけです。
だんだんと小さくなる声、そんな詩音に頬の筋肉が緩むのを感じる。
「……っ」
あたしがずっと見つめていたことに気づくと、詩音は一瞬にして顔を真っ赤に染める。
枕で顔を隠そうとする辺りもすごく可愛い。
「み、見ないで下さい!」
「えー、だって詩音可愛いんだもん」
「っ…だからあんたは…!」
ああ、もう…
私は疲れました!寝るんで帰ってください!
布団を頭まで被り丸くなる詩音。
こういう時、言葉通りに帰ると余計拗ねちゃうからやっかいなんだ。
でも、そんなとこもだいすきだから…嫌とか、辛いなんてことはない。
「詩音」
「……」
あたしには詩音だけだから、心配しなくていいよ
そう言ってあたしは布団ごと詩音を抱きしめた。
弱点は、あなた。
(ちょっとした行動、言動で一喜一憂してしまうんです。)
09/10/14