Selfish girl


詩音さん、明日はサボらずにちゃんと学校に行って下さいね。
突然、昨日葛西が言っていた言葉が脳裏を過ぎる。去年と比べれば、今の学校なんて可愛いもんだけれど、つまらないものはつまらない。行きたくないものは行きたくないんだ。

まだ覚醒しきっていない頭を使い、上半身だけ起き上がる。何もせずに呆けていると、傍に置いてあった携帯電話が、けたたましく鳴り始めた。
もう、こんな時間に誰ですか!?

「もしもし…」

携帯に表示された名前を確認せずに、
いかにも"不機嫌です"とわかるような声で電話に出る。

「詩音!」

しかし、電話の相手は私よりも不機嫌な声色で私の名前を叫んだ。

「何で学校来ないのさ!もう一週間だよ!一週間!」

電話の相手は、今まで溜まりに溜まった不満を未だに私にぶつけていたが、寝起きの私にはちょっと…否、かなり頭に響くため、携帯を耳から離した。

「ねえ!聞いてる?」

それから少したって落ち着いてきたようで声の音量やトーンが下がってくる。

「…落ち着きました?」
「詩音のばか。」
「どうしたんです?」
「…詩音がいないとつまんないの」

なまえは可愛いですね
ふとそんなことを思ったが、直接口で言ったほうが、あたふたするなまえが見れるはずなので、電話越しでは勿体ないから言わない。

「ねえ詩音、学校…来てよ」
「ふーん、そういうことですか。…結局なまえもせんせーの言いなりなんですね」
「なっ…ちっ違うよお!」

どうやら図星だったようでなまえは慌て始める。今はもう学校が始まっているような時間だから教師が後ろにでもいるのだろう。…嬉しいこと言ってくれるなーとか思いながらきゅんきゅん☆ってしてしまった私の気持ちを返せ!って感じですよ。

「嫌です」
「詩音ってばー」

今のなまえがしてるであろう表情を想像すると自然に頬の筋肉がだらしなく緩む。

「はあ、わかりました。今回だけですよ?」
「ホント?ありがと。じゃあ、急いで来てね」

なまえには会いたいけれど、学校には行きたくない。
おそらく、今日私が学校へ向かうまでは相当の時間がかかるだろう。

「(ごめんなさい。なまえ)」


08/8/9

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