その想いを伝えるには


「ほんっと、能登ってムカつく!ちょーうざい」
「うんうん、そうだねー」
「ちょっとなまえ!?ちゃんと聞きなさいよね!」

聞いてる聞いてる。
そう言って適当に流すと、麻耶は更に機嫌が悪くなる。
あたし的に、能登うぜえとかそんなのどーでもいいんですけど。

「能登がうぜーってのはわかったからそろそろ本題に入ってくれない?」

あたしを呼び出した理由が知りたい。
…どーせまるおのことだと思うけどさ。

「う…」
「まるお?」
「ち、違う!…でも、好きな人のこと」

まるおじゃない…?
それってどういうこと?あたしの知らない間に別の男に移ってたわけ?
あれ…?
なんか、すっげぇいらいらしてきた。

「あー、能登?」

いいんじゃない?能登。
結構お似合いだと思うよ。
喧嘩するほど仲がいいっていうしさー。
うんうん。
と一人で納得。でも、麻耶はなんだか…

「……」
「…麻耶?」
「の、能登じゃねーし!」
「照れんなって!」

あ、今から能登呼んできてやろうか?
絶対おっけーだって!
だって、麻耶は可愛いし…

「う…っく」

え?ちょっ…
麻耶…、なんで泣いてんの?

「うぅっ…ぐ……ら、らんれきづいてくれらいろー!」

なんで気付いてくれないの。
短く、それでいて簡単だったからよかったものの、
修学旅行の時の能登と麻耶の喧嘩での麻耶語を理解した高須がすごいと素直に思う。

もう何も言えない。できない。
…女の子の涙はこれだからずるい。

「麻耶、落ち着いてしゃべって」

ほら、深呼吸。
そう促すと麻耶は深呼吸をし、少し落ち着いた様子を見せる。

「ごめん、なまえ…」
「ううん、いいよ。てか、こっちこそごめん」

だから…続き、話して?
できるだけ優しく言い、笑った。

「あたし、…なまえのこと好きみたい」

返事は別にいらない。
だから、今まで通り…
麻耶はそう言うと、顔をひきつらせて笑う。

無理…すんなよ。

「タオル…濡らしてくる」

麻耶の頭をポンポンと撫で、部屋を出た。








(あたしも好きだよ麻耶)
(戻ったらそう伝えよう)


09/8/20

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