冷えた身体高ぶる感情


「最近寒いよねー」

棒アイスを片手にそう言うと、
ベッドの上にいた亜美は「はあ?」と顔を歪める。

「え、何?」

そんな瞳で見つめられたら何かに目覚め…ないです!
うそですはい、ごめんなさい亜美様っ

「あんた馬鹿でしょ」
「あれ、今頃気づいたの?」

私の言葉に呆れたのかため息を吐く亜美。
そんな表情も可愛いデス。

「…帰る」
「うええ!?ちょ、待っ…」

そう言っていきなり無表情になると、何の前触れもなく立ち上がる。
顔も合わせてくれない辺り、本当に怒っているように見えた。
でも、何で…?わからない。

「きゃあっ」

そんな疑問を持ったまま
亜美を止めようと腕を掴むと、側にあったテーブルの脚につまづいて、
そのまま亜美と一緒にベッドに倒れこんでしまった。

「あの…えと、ごめんなさい」

つい反射的に謝ってしまう私。
下からの亜美の冷たい視線に怯みそうになる。

「い、今退くからっ」
「…このままでいいわよ」
「え…?」

さっきまでの態度は何だったのだろうと思わせるその言葉。
私の頭の中は"はてな"がいっぱい。
が、そんなことを考える暇もなく私の首に亜美の両腕がまわった。

「何して……」

とりあえずこの状況を何とかしようと、何の考えもなく私は口を開いた。
けれど、それは空しくも亜美の手によって阻止されてしまう。
…読んで字の如く、彼女の手が私の唇を押さえちゃんとした言葉をそれ以上出すことができなかったのだ。

「なまえ…」

私の名前をゆっくりと呟くその半開きの唇。
グロスを塗っているのか、妖艶に光るそれに目を奪われる。

「きゃっ」

刹那、天地がぐるりと逆転した。
勿論視界には亜美の顔と部屋の天井だけ。

「あ…」

彼女の名前を呼ぼうとすると、それを遮るかのように唇が降ってきた。
可愛らしい音を立て、角度を変えてはそれを何度も何度も繰り返す。

「ん、…や……めっ」

抵抗しようと言葉を発しようと努力してみるも、それは亜美には届かない。
そもそも言葉にすらならなかった。

「はぁっ…んん、…っ」

触れるだけだったキスが次第に息苦しくなるくらい濃厚なものに変わる。
逃げる舌を追い回され、捕らえられたかと思えば強く吸い付かれ絡めとりいやらしく、ゆっくりと歯列をなぞられる。
私はといえば、そんな亜美にされるがままだった。





「あみ…?」
「……」

少し離れたベッドの隅で小さくなる亜美。
…何だか話しかけられないような空気だ。
どうしよう!
どうしたらいいの!?

「ごめん」
「うん?」
「なんか、あたしばっか………たいみたいでむかついた」
「…?」

わけがわからなくて、大きくたくさん瞬きをしてしまう私。
そんな様子を見てそれを理解したのか、亜美は大きくため息をつくと重たい口を開いた。

「あたしばっかりなまえに触れたくて、なまえを感じたくて…手を繋ぎたくて、キスしたくて…」
「他には?…私とはそれ以上のことはしたくない?」
「…したい」

好きだから、確かめ合いたい。
そう言い振り向いた亜美と私はもう一度唇を重ねる。
今度は不意打ちでもなければ無理矢理でもなかった。







   
10/1/17
(これを書き出したきっかけはやっぱりアイス←)
(ぐだぐだでも今は書き直し…ませんorz)

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