勉強どころじゃ…


「中学受験なんて大変だね」

眉間にしわを寄せてそう言うのは、
一週間ほど前から来てもらっている家庭教師。
現役女子大生のみょうじなまえ先生。
綺麗で、頭もよくて(亜美ちゃんが言うんだからそれはもう…!)完璧な人。
けど、ただ一つだけ問題がある。
…自分に関するすべての事象に鈍感だということ。

「痕、つくわよ」
「え…?」

きょとん、とした表情で椅子に座るあたしを見つめる。

「ここ」

あたしは、今度こそ伝わるようにと、人差し指でほぐすように眉間に触れた。
すると、なまえはみるみるうちに顔を赤く染め上げる。

「なまえ?」
「な、名前で呼ぶなって言ったでしょ!私は先生、…わかる?」

その言葉に思わずにやり。
目を涙で潤わせ、絶妙な角度からの上目遣い。
そして…

「先生…」
「…っ!?や、やっぱり先生もだめっ」
「(じゃあどうしたらいいんだっての…)」

耳まで真っ赤にし、両手で必死に顔を隠そうとするなまえの姿を眺める。
ここまで"アレ"だと、恋愛経験とかもないのではないだろうか(小学生に言われたくないだろうけど)
むしろそうであって欲しい。
…だってあたしは、なまえが… す き 。

「!?!?」

自分自身のそんな思考に驚いて思わず立ち上がる。
つーか、今頃気づくなんて亜美ちゃんどうかしてるんじゃね?

「あ…亜美ちゃん?」

なまえはあたし以上に驚いたのか、後ろにあったベッドに背中から倒れこんでいた。
…そして、赤いままの顔であたしを見上げている。

先に謝る。
「ごめん、なまえ」
「え……!…ふぅっンん」

そう言ってあたしは起き上がろうとしていたなまえにベッドへ押し倒すようにして口付けた。


09/11/18
(原作9巻のとある会話から…)

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