チラリズム理想論


昼休み、学園の中央広場。
私は桑田に聞いて欲しいことがあって彼を呼び出していた。

「桑田サン」
「んだよ」

名前を呼び、その後に続けようとしたものの何故だか声にならない。後ろめたいわけでは…ないのにどうしてなのだろうか。
手持無沙汰なので、とりあえず手に持っていたパンにかじり付いた。…うん、まずい。

「…なんだっけ?」
「オレが知るわけねーだろアホか」

…勿論忘れてなどいない。口では馬鹿にしつつも、結局私が話出すまで待っていてくれる優しさに申し訳なくなる。
ごめんごめんと、薄っぺらい謝罪をした後、再びパンをかじる。さっきはあんな事を言ったが…やはり本当は、後ろめたかった。
今彼が私の事をどう思っているのかは、はかりかねるが、私は過去に彼から告白を受けていた。…それなのに、今私は……。

「あのね、私…石丸君のこと好きみたい」
「はあ?」
「彼の困った顔が可愛くて可愛くて、もっと見たいからついいじめちゃうんだけど…」

私ってサディストなのかなあ?
最後にそう言って我に返り俯いていた顔を上げると、桑田はどうでもよさそうに背を向けていた。
過去のこともあるが、単純に話を聞いてくれるわけがないと想定していたので別に困りはしないけど、私の勇気をちょっと返してくれたっていいと思うよ。

「知るかアホみょうじ」

体を傾け桑田の表情を伺うと、子供のように拗ねた顔をしている。少なからず好意を寄せてくれているのがわかった。
でも、それでも続けようとしている私は…やっぱりサディストだ。…うん。

「それでね、この前スカートが短いって怒られて、石丸君直々にスカートの丈を直してくれたんだけど、つい魔がさして…」

「こう…ね?」と
"丈を直してくれた"
辺りで桑田がこちらを見ていたことに気付いた私は、そう言って立ちあがり、スカートの裾を摘まんでゆっくりとたくし上げるフリをする。
ああ、その顔最高。

「いやあ、あの日は短パンを穿いていたとはいえ随分大胆な真似「はあ!?大胆とかそういうレベルじゃなくね!?」

私の言葉を遮り、すごい剣幕で言う桑田に気圧される。
一応「いや、でも短パンだし」と反論するも聞き入れるつもりはなさそうだ。

痴女だっつーの!Sじゃなくて露出狂だっつーの!みょうじオメーアホか!アホアホアホアホ!!!
桑田は座ったままお母さんよろしく説教をかますと、いきなり立ち上がる。

「つーかさ!男はスカートの下に何を穿いていようがどーでもいーんだよ!見えそうで見えねーのがコーフンすんだよわかれよ!!」

なるほど、わからん。
なに?結局見えたらだめなの?なんなの?
私的には石丸君が真っ赤な顔で倒れたから満足なんだけど。(ダメダメ言って凝視して来る石丸君本当に可愛かった!思い出すだけでぞくぞくしちゃう!)
とりあえず、今ので桑田が興奮したのはわかったから落ち着けって。

「はあ?落ち着けるわけねーだろ!オレはまだみょうじ、オメーが好きなんだよバーカ!」


13/8/4
13/9/2(修正)

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