田井中律


姉妹 〜律の場合〜


「りっちゃーん…りつー?」

期限が明日に迫った課題。
いつか、いつかと後回しにしていたものだというのに、なまえが邪魔で進まない(自業自得とも言うけどな!)

「りっちゃん、りっちゃん見てこれ!」
すっごく可愛いよ!

自分の部屋から持ってきたのか、雑誌を広げ楽しそうに笑うなまえ。
それを見て、おまえのが可愛いよ…なんて思ってしまうあたしはどうかしてるのだろうか…。

はあ、とため息を吐き頭を抱える。
最近はずっとこうだ…
姉ちゃんを見ると、胸が…締め付けられる。
みんなにも上の空だって言われちまうし、練習だってろくにできやしねぇ…。

「りつ…?大丈夫?」
「だっ、だいじょうぶだ」

思いのほか近い場所にある顔にまた胸が痛くなる…
ほとんど顔のつくりも変わらないってのに…なんなんだよ、これ…!

「そう?…うん、わかった。でもりっちゃん、お姉ちゃんは…笑ってるりっちゃんの方が好きだよ」

その言葉に今までのことが走馬灯のようにぐるぐると駆け巡る。
…思えばいつもそうだ。
無邪気に笑うなまえに……心を乱されて…
それって、あたしが姉ちゃんを好きってことなのか?
でも、あいつはあたしの姉で…血は繋がってるし……てか女、だし…
もう、わけわかんねぇ

「りっちゃん…?」
「ごめん」
「え、…っ!?」

姉ちゃんの唇に触れるだけのキスをする。
ばかなあたしにはこれくらいしか確かめる術はなかった。

「(やっぱりなまえが好きだ)」
「りっちゃ…「ごめん、頭…冷やしてくる」

「りっちゃん…」

あたしを呼ぶ声がしたけど…今振り返ることはできない。
というか、今のあたしにそんな資格はないんだ。
それにもう…引き返すことなんてできないんだから……。


09/9/14

 top 
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -