抱きしめる 〜亜美の場合〜


「ぎゅってしていい?」

 ソファに寝そべって雑誌を読んでいると、頭上からそんな言葉が降ってきた。この家にいるのは私と彼女だけなので、考えることもなく声の主が亜美だということはわかる。…わかるのだが何故だろうこの違和感。槍でも降ってくるのではなかろうか。

「いいけど…」
「あんた今失礼なこと考えてなかった?」

 い、いやあ滅相もありませんあはは。他でもない亜美の願いならなんでも叶えてみせるよ!
 読んでいた雑誌を放り、某巨人漫画の如く右手拳を左胸に当てる。

「……」
「どうした?」

 おそらく、馬鹿だなこいつなんて思っているんだろうなあ、わかるわかるすっごくわかっちゃうよ!
 と考えながら次の言葉を待っていると、亜美は俯いて

「やっぱりキスして…」

 なんて可愛い事を言ってきやがった!何この子可愛い!
 槍が降るどころかありとあらゆる天変地異が起きそうな予感がするけど、亜美と最期まで一緒にいられるならもうなんでもありな気がする。




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