「名前、今日掃除当番変わってくれない?」
「えぇ〜…、っ!ぜ、是非お任せください。」
女の子って、どうしてこんなにも逞しいんだろうか。
サクラの無言の圧力に負けて人気の失せた教室をたった1人で、独りで黙々と掃除しているとドアの開く音が聞こえ振り向く。
「…ちっ」
「いやいやいや!いきなり舌打ちって酷ェよ!」
振り向いた先には優等生だとか、才色兼備だとか色々な噂(全て良い噂だけど)を持つ うちはサスケ が立っていた、というよりはこちらを睨んでいた。と言う方が正しい。何故だ。
「あー、うちは…くん忘れもん?」
「…」
相変わらず無口なうちはくんはオレを一瞥したあと嫌悪感を塵も隠さず表情に出してシカトした。チクショウ、
まあ、うちはが無口なのは今に始まった事でもないし放って置いて大丈夫だろうと自己解決に至って集めた塵をゴミ箱へ捨ててしまう
「うっし、じゃオレ帰るわ。あんま無理すんなよー」
「…余計な世話だ」
「へいへい、悪かったね。じゃまた明日なー」
ひらひらと手を降って教室を出ようとドアに手をかけると、背後からどこか不機嫌そうに「おい、」と呼ぶ声が聞こえてきて一瞬思考が停止した。
「…なーに?」
「お前、…」
「うん?」
「…ちっ」
「いやいや!意味分かんないから!」
お前オレに恨みでも持ってんの!?思わず突っ込んだオレにうちはは眉間のしわをさらに寄せやがった。
「…くいか」
「…は?」
「チッ、…英語、得意か」
「…英語?」
何処か気まずそうにオレから目をそらすうちはに思わず頬が上がるのを必死に堪えながら、あえて、至極自然に聞こえるように注意しながら、口を開く
「うちはって英語苦手なの?」
「さっさと帰れ」
「ひでェ!」
やっぱり完璧な人間なんて居ないんだな。変な安堵を覚えながらうちはの元へ近寄れば、またうちはの眉間にあるシワが増えた。
痕付くぞ?と気にしてやったのに予想通り睨まれた、けど多分オレの頬は緩みっぱなしだ。
「英語教えてやるから、数学教えてくんね?」
「ウスラトンカチが。指図するな」
「何様!?なあ、頼むよー」
な?と手を合わせて懇願してみるが、嫌悪感が溢れだしてくる。ヒシヒシと伝わってきてるよ、てか態となのか?ねぇ態と?
「…条件がある。」
「お?なになに、」
「この事は他言無用。それが破られたらこの話は破棄だ」
「オッケー!」
優等生に教えることなんて、それもあの、うちはサスケに教えるなんてオレって凄くない?なあんて
(欠点がない人なんて、面白くないじゃん?)
120307