人、人、人。
人だらけにオレとシカマルは思わず溜め息を吐いて苦笑した。
「ちょっと、アンタ達入場してすぐに溜め息吐くのやめなさいよ」
「…めんどくせェ」
「すんません。」
いのに注意を受けながら、ナルト達を見ればまだ何も乗り物に乗ってもいないのに凄く楽しそうだ。
シカマルとオレは宛ら保護者のようだ。
「ねえ、サクラ!いの!あれ!乗ろうよ!」
「あら、いいわよ!」
「ほら!アンタ達も行くわよ!」
楽しそうに駆けていく先は"メリーゴーランド"で、思わずオレとシカマルはひきつった。どう考えてもオレやシカマルがメリーゴーランドで「アハハ、ウフフ」は…無いだろ…。
「……オレ、カメラ係」
「おまっ、ずりぃぞ!!」
「サクラ達!オレが写真撮ってやるよ!」
「名前ったら気が利くじゃない!」
「シカマルも手伝えよ!な!」
「お、おう、任せろ!」
助かった、と小声で言われて苦笑を返す。世界史のお詫びだと言えば鼻で笑われたけど。
そのあとは皆でジェットコースターやバイキングなど絶叫マシーンを乗ったあと、サクラが何かを指差して綺麗な笑顔をオレに向けた。サクラの指差す先には"お化け屋敷"があって何でオレなんだ、と思いながらも2ペアに別れて入ることになった。その時何故かシカマルには哀れんだ目を向けられたけど。
「うーん、ウサギちゃん大丈夫?」
「……大丈夫…じゃない…っ」
まだ入り口から数歩だと言うのに尋常じゃないほど怯えるウサギちゃんに一瞬"弱肉強食だなぁ"と思ってしまった。どう見ても被食者だもんなぁ。
「ほら、腕掴んでてもいいから。あ、何なら抱きついてもいいよ」
「え、い、いや!だだだ、大丈夫だよ!!」
そりゃ、残念だ。と笑えばウサギちゃんの震えも少しだけ落ち着いたのがわかった。
「ま、大丈夫。守ってあげるしね?」
「うぁ、うっうん、ありが、とう」
それから、怯えるウサギちゃんに時々冗談を交えた話をしながら出口へと出れば、眩しさに目が眩んだ。
2回ほど瞬きをして、回りを見れば顔を真っ青にしたナルトと何故かニヤニヤとしたサクラといのの姿。意味がわからなくコテン、と首を傾げてウサギちゃんを見れば目があった途端、顔を真っ赤に染めて離れていってしまった。
「ん?何この空気。」
「…ったく、めんどくせー」
相変わらずサクラ達はニヤニヤしていたけれど関わると録な亊が無さそうなので放置。こういう勘は当たるんだ。
「さーって、ラストは勿論…観覧車でしょ!!」
そういうものなのか、と些か疑問に思いながらもまた2ペアを組めばまたウサギちゃんとで、ゴンドラに乗り込んだ。
会話らしい会話はあまり無くてぼうっと景色を眺めていれば、視線を感じてウサギちゃんを見ればガチガチに固まっていた。
「大丈夫?もしかして高所恐怖症?」
「え、あっ違うよ!……あ、あのね」
「うん?」
ごくり、と生唾を飲む音が聞こえるほど静まり返ったゴンドラに二人の息遣いだけが響く
「私、ね?…名前くんが、す、すきです!」
「…へ?」
「いきなり言われても困っちゃうよね!ごめんね!えっと、」
わたわたと慌て始めたウサギちゃんを見て思わず吹き出してしまったオレを見て酷く怯える様子のウサギちゃん。これじゃまるで俺が悪者…というか捕食者だな、と苦笑する
「ありがとうね。嬉しいよ」
「あ、う…うん」
「オレ、誰かと付き合うとかよくわかんないから、さ。酷いこと言ってるってわかってんだけど…、今までみたいに友達でいてくれると嬉しい、な」
ダメかな?と問えば、今にも泣きそうなのにウサギちゃんは嬉しそうにはにかんだ。
「ありがとう。」
(オレに捕食者は向いてない)
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タイトルの「ジャングルの掟」と言うのは「弱肉強食」を英語にした直訳?です。(=the law of the jungle)
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