どんよりとした天気。
ぼんやりとした思考。
曇り空の日って、どうしてこんなにもモチベーションが下がるのだろうか。今にも雨が降り出しそうな空を眺めながらため息をつけば、隣の席の子と目があった。
「あ、ごめんね。」
「大丈夫、それより何か悩みごと?」
「いや、大丈夫。ありがと」
ニコリと笑えば、少し不満げだったけど納得したみたいで再び前を向いた、それにならってオレも前を向いた。が、やっぱりヤル気がでない。
「…だめだ」
「さっきから大丈夫か?」
「シカマルー、おれ、もうだめだ…」
「はぁ?…めんどくせェ」
机に頬杖をついて呆れた目をしてくるシカマルについ、うっかり、勢いよく手を挙げて今の授業担当であるゲンマセンセーに向かって発言する(因みに今は世界史の授業だ)
「…センセー!シカマル君がセンセーの悪口言ってました!」
「はあ!?おい、名前!ふざけんなよ!」
「ほぉ…おい、奈良ァ オレの授業はつまらねェってか…?」
「い、いや…待ってくださいッスよ、大体オレ先生の悪口なんか一言も…っ、」
「今言えば怒んねェから、言ってみ?」
シカマルの小さな悲鳴を聞きながら、ゲンマ先生にバレないように教室を出ると、廊下は当たり前だけど静かだった。うん、授業中だしね。
徘徊している先生たちに細心の注意をはらいながら漸く屋上へと辿り着いた。ドアという役割を果たしていない、ただの鉄の塊を押し退ければ湿った風が吹いてくる。
「げ、」
「げ、ってなんだ。っていうかお前授業どうした」
「…なんか自習になったんで」
「…胡散臭ェ」
「……煙草臭ェよりマシッスよ」
ピシリ、と空気が凍ったのがわかった、けれどこれといって何かするわけでも無く少しだけ目の前にいる男…、アスマ先生を見て様子を伺う。
ゆっくりと煙草を消して携帯灰皿に捨てる。強面の顔に精一杯の笑みを貼り付けて背後には危ないオーラを背負って近づいてくる。
「……てめ」
「あ!紅ちゃんだ!」
アスマ先生の体が一瞬止まった隙を見て屋上を飛び出した。アスマ先生の怒声が聞こえたような気がしたけど気にしない聞こえない気のせいに違いない。
教室には戻れないし、屋上も行けなくなってしまったので、仕方無く空き教室へ入ればシン、とした空気な何故か安堵した
「欠席扱いになっかなー?」
「そうだねー、授業に出なきゃ出席にはならないよねー」
「………はあ、勘弁しろよ」
漸く一人になれる所を見つけたというのに今度はカカシさんに見つかった。
「センセーたち、オレにGPSでもつけてんの?
「なわけないでしょ。名前の行動が単純なだけ」
ドアにもたれ掛かってこっちを見てくるカカシさんは、変な意味合いは無く純粋に格好いいと思う。畜生。
っていうか今の時間なら4組で授業中じゃねーの?
「つーか、カカシさん今授業中ッスよね?」
「あー、まぁ別に30分ぐらい行かなくてもどうってことないでしょ」
「いや30分後に授業終わりッスけど」
「細かいことは気にしないのー」
ま、カカシさんとはしょっちゅうこうやって授業をサボったりするんだけどね。
(あー、曇りって嫌だなー。)
120324