処刑台の主役 | ナノ


▼ 58


漸く時が来た
また、一歩 あいつに、あの人に、――あの女に。


「もう、アンタに教わる事は何も無い。」






お前を殺すためだけに生きてきた。そう言ったオレにあの女はただ嬉しそうに笑って弱いとあたしを殺せと言うんだ。殺した先に何があるかなんてどうだっていい、ただオレはそれだけを掲げて生きている、これからも。
里を出る前に、兄さんにその時初めて引きとめられた。オレは当たり前のようにあの女を殺すためだと答えたけれどイタチはただ切なげに眉をさげただけでそれ以上は何も言わなかった。どうして、どうして、オレは間違っているのか?――いや、オレは間違ってなどいない。家族を、里を、一族を裏切り。兄弟を、俺を裏切った。


「今の君は一体…、どっちなんです…?」

「…どっちだと思う」


嗚呼、あの女もこうやってオレにみせた。あの時の記憶、見たくないと叫ぶオレの声に見てと笑う声。嫌だと泣いたあの頃のオレは、



「水月、香燐、重吾。これからオレ達は四人で動き、小隊を"蛇"と名乗る。…そして目的はただ一つ、―――"うちは名前"だ」


もう、いない。


140417
(title:infinity様より拝借)

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