処刑台の主役 | ナノ


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そろそろ仕上げだ、と言うリーダーの声にそうっと目を塞ぐ。まるで音だけの世界。一尾の人柱力の断末魔はいつから聞こえなくなっていただろうか。意識は白だけの世界。

ドサリと重たいモノが落ちた音に目を開けると同時に終わりの声がした。


「外が騒がしくなってきたな」

「もう一人"人柱力"がいるんだってな…」


あたしを見て笑うサソリに目を向ければ彼と視線がかち合った。


「悪く思うなよ、名前」


一体どういう意味で言っているのか、相変わらず人を煽るのが上手だね。なんの為のノルマ制なのか、というのも一から順に教えてあげたいくらいだよ。


「――"人柱力"は生け捕りにしろ。他は解散だ」

「名前…、九尾の人柱力はどんなヤローだ?」


人のノルマを奪うあげく、ものを頼む態度じゃないこんな奴に、何故教えないといけない?サソリも大概好戦的で眉が寄りそうになるのを必死に留めていてというのに、リーダーの仲裁する声についには寄ってしまったのは致し方ないと思うの。


「…一番はじめに怒鳴ってくる子だよ。」

「ん?何だそりゃ?」

「もっと具体的な特徴はねーのか?うん?」

「さあね、後は自分で考えれば」



意識を取り戻したあと、固まった体を動かせばあちこちが軋んで舌打ちが出た。それを聞いたのか相変わらず緩い口元を晒しながらあたしを見た鬼鮫に先ほどよりも大きな舌打ちを打った。


「随分とご機嫌斜めですねェ…」

「…黙ってなよ」


みんな、後から悔やめばいいの。


130211

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